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辰野登恵子

Toeko Tatsuno

 辰野登恵子は1950年長野県生まれ。東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業後、同大学院修了。大学在学時には、油画科の同級生であった柴田敏雄、鎌谷伸一らとともに「コスモス・ファクトリー」を結成し、アンディ・ウォーホルやロバート・ラウシェンバーグからの影響に基づき写真製版によるシルクスクリーンを試みた。70年代には、当時のポスト・ミニマリズムの動向などへの関心に根ざして、線描の強弱や僅かなにじみなどにより生まれる差異の形象化を、版画やドローイングなどを通して試行。80年代以降は絵画を中心に、アラベスク、ダイヤ、方形、球など、植物的かつ幾何学的な多種多様なモチーフの連続的なパターンと、油絵具の質感を生かした色彩表現を行った。95年には史上最年少(当時)の45歳で東京国立近代美術館での個展を開催し、翌年には第46回 芸術選奨文部大臣新人賞を受賞。生前参加した主な展覧会に「戦後日本の前衛美術」(横浜美術館ほか3ヶ所、1994-95)、「国立新美術館開館5周年 与えられた形象―辰野登恵子/柴田敏雄」(国立新美術館、東京、2012)など。多摩美術大学教授を務め、2000年代以降の画家に影響を与えた。2014年没。