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カミーユ・アンロ

Camille Henrot

 カミーユ・アンロは1978年フランス・パリ生まれ。パリ国立装飾美術学校でアニメーションを学んだ後、ピエール・ユイグのアシスタントを経てニューヨークに移住。文学や哲学、美術史、博物学、情報学といった広範囲に及ぶ膨大なリサーチに基づいて作品制作を行い、映像、彫刻、ドローイング、インスタレーションなど多様な形態で発表している。2013年に第55回ヴェネチア・ビエンナーレ銀獅子賞を受賞以来、国際的に活躍。受賞作《偉大なる疲労》(2013)は、アンロが国立スミソニアン博物館で特別研究員として行った膨大なアーカイヴの調査に基づく映像作品で、情報化時代の高速移動を示すように切り替わるデスクトップ画像とヒップホップ調の語りによって、世界の始原や神話、生命の歴史を考察するものだった。

 17年にはパレ・ド・トーキョー(パリ)全館で展示を行うことができる「carte blanche(全権委任・自由裁量)」の権利を与えられ、大規模個展を開催。アフリカ・ドゴン族の神話とゴットフリード・ライプニッツの哲学を入り口に、宇宙の成り立ちや人間の生、世界の秩序と多義性を考察する重層的なインスタレーションを展開した。このほか、近年はクンストハレ・ウィーン(ウィーン、2017)、フォンダツィオーネ・メモ(ローマ、2016)、ニューミュージアム(ニューヨーク、2014)などで個展を行う。

 日本では、2005年に原美術館(東京)で個展を開催。第6回恵比寿映像祭(2014)、森美術館のMAM スクリーン(東京、2017)に出展。19年に大回顧展「カミーユ・アンロ|蛇を踏む」(東京オペラシティ アートギャラリー)が開催された。また、初期のアニメーション作品《Branding》(2002)がKROK国際アニメーション映画祭(モスクワ)の最優秀賞映像作品賞を受賞している。