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満田晴穂

Haruo Mitsuta

 満田晴穂は1980年鳥取県生まれ。2006年に東京藝術大学美術学部工芸科を卒業。08年に同大学美術研究科修士課程彫金研究室を修了。大学在学中に自在置物師の冨木宗行と出会い師事する。現在は横浜市を拠点に活動。江戸末期〜明治にかけ、甲冑職人らによってつくられた「自在置物(じざいおきもの)」を継承する作家として国内外で作品を発表している。「自在置物」は鉄などを素材とし、昆虫や蛇、甲殻類、また龍などの架空の生きものをかたどった金属工芸品のこと。満田は主にクワガタムシやムカデなど昆虫をを対象に、鋭い観察眼と緻密な手業によってその外見だけでなく体内の構造までも再現し、実際に動かすことができる作品を手がけている。

 本物と見紛う精巧な作品は「たまたま金属でできている命」とも評され、その卓越した技術が認められて、これまでに、第8回創造する伝統賞(2017)、「第48回日本クラフト展」入選(2008)、「第2回藝大アートプラザ大賞」大賞(2007)、原田賞奨学基金(2006)、「全日本 金・銀創作展」開催委員会会長賞(2006)を受賞。近年参加した展覧会に、「驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ」(三井記念美術館、東京、2017)、「ニッポンの写実 そっくりの魔力」(北海道立函館美術館ほか、2017)、「金工の深化 -Evolution of Metal Works-」(和光本館、東京、2017)などがある。