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崔在銀

Jae-eun Choi

 崔在銀(チェ・ジェウン)は1953年韓国・ソウル生まれ。72年の来日をきっかけに生け花に魅せられ、草月流の三代目家元・勅使河原宏(てしがはら・ひろし)に師事。器に花を生けるという生け花の表層を超え、その空間概念や宇宙観を学ぶ。76年より東京在住。80年代に生命や時間をテーマとした作品の制作を開始する。91年のサンパウロ・ビエンナーレ、95年の第46回ヴェネチア・ビエンナーレでは日本代表のひとりとして参加。2010〜16年まではドイツ・ベルリンを拠点に活動。当時暮らしたアパートのゴミ捨て場に捨てられていた19〜20世紀の古本の、見返り紙や遊び紙を切り取ってコラージュした「Paper Poem」シリーズでは、紙のもとである樹木の時間が、やがて人間の知恵や記憶の時間へと変容していくさまを表現する。

 自然についての思索を作品化するほか、近年は、朝鮮半島を南北に隔てる非武装地帯・DMZの豊かな生態系を守り、自然と人との共生を探るプロジェクト「Dreaming of Earth project」を展開。同プロジェクトには、李禹煥、川俣正、坂茂、スタジオ・アザー・スペーシズ(オラファー・エリアソン+セバスチャン・ベーマン)らアーティストや建築家が参加しており、その構想を可視化する展覧会「The Nature Rules 自然国家:Dreaming of Earth Project」(原美術館、東京、2019)が開催された。第15回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展(2016)など国際展への出品多数。主な個展に、「The house that continuously circulates, Convent of St Agnes of Bohemia」(プラハ国立ギャラリー、2014)、「アショカの森」(原美術館、東京、2010)、「ルーシーと彼女の時間」(サムソンロダンギャラリー、ソウル、2007)などがある。