原爆による惨状を描いた全15部からなる《原爆の図》で知られる丸木位里(1901〜95)と俊(1912〜2000)の夫妻。この2人が、1987年から92年にかけて描いた全6部の大作《足尾鉱毒の図》が、今年4月に新設された太田市民会館で一挙公開されることになった。
《足尾鉱毒の図》は、栃木県の足尾銅山で起こった公害事件「足尾鉱毒問題」をテーマにした作品。足尾鉱毒問題に向き合い、その解決に尽力した政治家・田中正造の活動に共感した篤志家・山中鹿之助が、丸木位里・俊夫妻を招聘し、制作を依頼したもの。
第1部「足尾銅山」から第6部「谷中村野焼き」までの6部構成で、それぞれ1.8×7.2メートルの四曲一双屏風に、公害が巻き起こした洪水や操業停止を訴える「押し出し」(請願)の様子などが描かれている。
同作は現在、群馬県太田市が所蔵しており、全点展示は2013年の田中正造没後100年記念で展示して以来4年ぶり。会場では、鉱毒問題に取り組んでいる「渡良瀬川鉱毒根絶太田期成同盟会」の活動内容についても同時に紹介されるという。