「原爆堂」とは、建築家・白井晟一が1955年に計画した施設。54年に第五福竜丸が核実験の犠牲となった際、映画や文学、美術、写真、漫画などの分野からは核をテーマに据えた多くの作品が生まれたが、建築の分野からは原爆堂が唯一提案されたものだった。
そんな原爆堂に焦点を当てた展覧会が、東京・南青山のGallery 5610で開催中だ。
本展は、戦後の歴史において原爆堂計画が意味するものとなどのようなものなのかを改めて見直す展覧会。また、東日本大震災における福島第一原子力発電所事故も経験し、様々な対立と分断がある現代において、どのような「共存」を思い描いていくことが可能になるのかを考察する。
展示の中でも、とくに注目したいのは本展のために新たに製作された原爆堂のCG動画やインタビュー映像だ。インタビュー映像「未完の建築、原爆堂」には建築評論家の五十嵐太郎、写真家の石内都、劇作家の岸井大輔、建築家の宮本佳明の4名が登場。原爆堂についてそれぞれの見地からその魅力や意義について語っている。
ほかにも、白井の直筆スケッチや建築写真、そして模型など様々な資料から原爆堂について知ることができる展覧会。イベントも企画されているので、あわせて注目したい。