1928年にニューヨークで生まれたウィリアム・クラインは、56年に写真集『Life Is Good & Good for You in New York: Trance Witness Revels』(邦題『ニューヨーク』)でデビューし、その後、ローマ、モスクワ、東京、パリなどの世界の都市を撮影。荒れた粒子やブレ、不安定な画面構成など、従来の写真のタブーを破る大胆なスタイルで捉えられた都市の姿は、多くの写真家に影響を与えた。
また、クラインは写真のみならず、映画制作者としてもこれまでに数多くの作品を撮影しているほか、画家やグラフィックデザイナーなど多方面で活躍。現在も世界中で展覧会を開催し続けている。
本展では、写真評論家で美術史家の伊藤俊治をディレクターに迎え、クラインの都市ビジョンを紹介するとともに、従来の写真の枠組みにとらわれない活動を展開している日本やアジアの写真家たちの作品を展示。20世紀から21世紀へ至る都市ビジョンの変貌を提示する。
会場の21_21 DESIGN SIGHTのロビーでは、クラインの写真と映画、グラフィック、コンタクトプリント、写真集、巨大写真などの多種多様なイメージを一堂に集めて展示。また、ギャラリー1では映像作家・TAKCOMとのコラボレーションにより、クラインの捉えた各都市の光景を、浮遊感や流動性あふれるマルチ・プロジェクションとして空間全体を使って展開する。
そのほか、石川直樹+森永泰弘、勝又公仁彦、沈昭良、須藤絢乃、多和田有希、西野壮平、朴ミナ、藤原聡志、水島貴大、安田佐智種が参加。フォトコラージュやサウンドインスタレーションなど様々な形態で、21世紀の都市と人間へのまなざしから生まれた作品を展示する。