「ねこのほそ道」(豊田市美術館/2月25日〜5月21日)
キュレーターはどのような単語をテーマにしても展覧会をつくることはできるが、それを大喜利のように扱わず、かつ、対象の単語の新たな可能性をひらくこともせずに、展覧会の態度そのものを対象の単語にしてしまうバランス感覚の妙。日常に馴染んだ生き物をテーマに現代美術の展覧会をつくろうとしたキュレーターの着眼点と想像力、複数の作家に新作を制作してもらい、それを管理し、展覧会のなかでまとめ上げた手腕も評価されるべきだろう。それぞれの作家がリスペクトしながらも牽制し合う会場に張り詰めた緊張感と、しかし、風通しを感じるすこやかさが満ちていたことは、良いキュレーションがなされた何よりの証左である。