東京ドームに新たなアートスポット「Gallery AaMo」が誕生。こけら落としはライゾマティクス×ELEVENPLAY

東京・水道橋の東京ドームに新たなアートスポットとなる「Gallery AaMo」が4月15日にオープンする。「大人のための遊べるギャラリー」を掲げ、メディア・アートから工芸、サブカルチャーまで幅広い用途で使用されるスペースのこけら落としの様子をお届けする。

4月に行われた「phosphere」の公演風景

なぜ東京ドームにアートが必要なのか?

 「Gallery AaMo」というネーミングは、「Art」「Amusement」の「A」、「aMo」は「and More」の「aMo」から名付けられた。総事業費は5億円。スペース全体の広さは830平米(ホールは730平米)、天井高5メートルに及ぶ広空間だ。

 ではなぜ、東京ドームがギャラリー施設をオープンさせたのだろうか。その理由として、同社代表取締役・長岡勤は新規顧客の獲得を挙げる。「スポーツ、エンターテイメント、アミューズメントの発信地としての存在感に比べ、アート・カルチャー分野への期待感は決して大きいものではない。『Gallery AaMo』は東京ドームシティに新しいアート・カルチャーの発信機能を持たせるもの」と語った。

 また、同社ミュージアム部支配人・西見敬一郎は「モノ消費」から「コト消費」へのトレンドの変化、アートの多様化、まちづくり(東京ドームシティ)におけるアートへの需要などをオープンの理由に挙げている。同ギャラリーは今後、「新しいジャパ二ーズカルチャーの紹介」「新しいアーティストの発掘」「水道橋エリア全体でのアートプロジェクトの実施」などを目標として掲げており、2020年に向けて高まる文化発信への需要を満たす方針だ。

Gallery AaMo外観

こけら落としは、Rhizomatiks Research x ELEVENPLAY

 「Gallery AaMo」のオープニングを飾るのは、メディア・アーティストの真鍋大度と石橋素が率いる「Rhizomatiks Research」と、演出振付家のMIKIKOが率いる「ELEVENPLAY」によるコラボレーション・ワーク。両者は2010年からコラボレーションをスタートさせており、今回披露される新作ダンス・インスタレーション『phosphere(フォスフィア)』は、2年ぶりとなる新作公演だ。

 「phos」はギリシャ語で光、「sphere」は球体や空間・領域を意味しており、この二つの言葉を合わせた造語「phosphere」は光の作り出す空間、場所、圏をイメージしているという。本作は、多数のプロジェクターの光を特殊なソフトウェアで制御し、複雑な空間を構築、ダンサーやオブジェクトがそのなかに入っていく、「ダンス・インスタレーション」という新しいジャンルの作品。ダンサーと光が連動することによって、立体的なかたちとその流れの軌跡を楽しむことができる。

 演出・振り付けを担当するのはダンスカンパニー「ELEVENPLAY」主宰で、PerfumeやBABYMETALの振付・ライブ演出などを手がけるMIKIKO。今回、こけら落とし公演を前に、報道陣向けのスペシャルイベントが行われたが、これを終えてMIKIKOは「見る場所によって見える景色が違うというものに挑戦したかった。正面だけでなく、両サイドからも見られる3パターンの振り付けをつくったのが一番の挑戦だったのですが、実際に観客が入った様子が確認できてよかったです」とコメント。

 今回のダンス・インスタレーションは、マーカーを使い、それに光が追従するという演出がなされたが、この制作過程について真鍋は次のように語った。「僕たちは振り付けはつくりませんが、新しい振り付けが生まれるような環境をつくることを目指しています。今まではドローンやAR、VR、映像などを使ってますが、そういったものが入ることで、いままでダンサーだけでやっていたものとは違う動きが出てくるといいなと思って仕組みを考えています。まだまだ技術的には課題もありますが、(『phosphere』は)いまある技術で実際に舞台芸術で使えるものではベスト」。

(左から)MIKIKOと真鍋大渡

 なお、「Gallery AaMo」では今後、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」展(4月25日〜5月28日)、「TOKYO ART CITY by NAKED」(6月18日〜9月3日)、「映画公開記念 鋼の錬金術師展」(9月16日〜10月29日)などが予定されており、東京ドーム内の他施設との連携なども視野に入れているという。

編集部

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