3年ぶりの「六本木アートナイト」はここに注目。村上隆が「ドラえもん」を通して伝えたいこととは?
3年ぶりの「六本木アートナイト」が9月17日〜19日の3日間にわたり開催される。数あるプログラムのなかから、とくに注目したいものをピックアップして紹介する。
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新型コロナウイルスの影響で、3年にわたり開催が延期となっていた「六本木アートナイト」が、9月17日〜19日の3日間、ついに開催される。会場は六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、国立新美術館、六本木商店街、六本木地区の協力施設や公共スペースなど。
テーマは「マジカル大冒険 この街で、アートの不思議を探せ!」。メインプログラム・アーティストは村上隆が務め、村上自らがキュレーションしたアーティスト12組とともに、「ドラえもん」とコラボレーションした新作のバルーン作品が六本木各所で披露される。
開催前のプレスプレビューで村上は、ドラえもんにかける想いについて次のように語った。「小さな子供たちにもわかる、アートの最初の入口になるようなものをつくりたいと思い、バルーンを藤子プロや協力してつくった。藤子・F・不二雄をはじめ、自分が幼い頃に憧れたマンガ家たちは、芸術家的な立場で世の中を変えていこうという気概があった。名実ともに芸術家だったマンガ家たちの姿勢を表現したいと思った」。
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バルーン制作に参加したアーティストは、細川雄太、くらやえみ、ob、村田森、青島千穂、T9G&ナカザワショーコ、Mr.、大谷工作室、TENGAone、Kasing Lung、タカノ綾、MADSAKI。村上はアーティストたちの今回の取り組みを次のように評する。「 日本のアニメやマンガ、ゲーム等に影響を受けたスーパーフラット的な表現をしているアーティストを選んだ。コロナによる延期で各作品の完成度があがり、満足度も高くなっているはずだ。子供たちが、大人が真面目につくった作品を『変だ』『異物だ』と感じ、そこに会話が生まれることで、アートに触れるきっかけになれば」。
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ほかにも、約70組のアーティストによる約100のプログラムが六本木の各所で展開される。バルーン作品とともにその一部を見ていきたい。
まず、六本木ヒルズアリーナでは村上の代表作である「お花」を描いたドラえもんが鎮座する。高さ10メートルという過去最大級のバルーンだ。その周りには細川雄太、くらやえみ、ob、村田森、青島千穂、T9G&ナカザワショーコが制作したバルーンも並び、人々が行き交う広場を見下ろす。
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「ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡—市民が創った珠玉のコレクション」と「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」が開催されている国立新美術館。館の前にはMr.、大谷工作室、TENGAone、Kasing Lung、タカノ綾によるドラえもんのバルーンが出現。展覧会とともに楽しみたい。なお、六本木ヒルズに隣接するラピロス六本木ではMADSAKIのドラえもんも展示されているので、こちらも見逃さないようにしたい。
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東京ミッドタウンにも4メートルのドラえもんが登場している。青空のようなブルーに、ドラえもんと仲間たちが描かれた作品は、裏に回ってそのアートワークを堪能してほしい。
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街中に点在する作品もピックアップして紹介したい。「クリストとジャンヌ=クロード "包まれた凱旋門"」が開催されている21_21 DESIGN SIGHTに向かう道には、昨年末に逝去したローレンス・ウィナーによるバナーがはためく。ウィナーの作品はほかにも六本木ヒルズ内の柱などにも点在しているので、探してみてほしい。
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六本木交差点には増田セバスチャンによる 「Polychromatic Skin」シリーズのタワーがそびえ、カラフルな色彩によって多様なジェンダーが表現された。また、交差点の首都高の橋脚には今井俊介の絵画から抽出したパターンが現れている。
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マイケル・リンは外苑東通りの裏手にあるジオットハウスを、台湾の伝統的な格子窓から流用した格子模様で彩った。付近のビルでは、原田郁がPCのなかの仮想空間を部屋に出現させている。
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また、リヴァ・クリストフはかつてコンビニだった空き店舗で《人間自動販売機》を制作。消費社会に生きる人間のあり方に疑問を投げかけている。
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東京のアート好きにとっては行き慣れた街である六本木だが、アートナイトの週末はその表情の変化をぜひ楽しんでもらいたい。
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