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2021.7.30

この夏、代官山で楽しむデンマークデザイン。アルネ・ヤコブセンやヴァーナー・パントンも

数々の著名デザイナーを輩出する国、デンマーク。そのデザインを体験できるイベント「デンマークデザインイベント:デーニッシュモダンの起源から最新のデザインまで」が、東京・代官山のデンマーク王国大使公邸で開催されている。一般公開は8月7日のみ。

展示風景より、壁面はヨハンネ・スコフボー・ラスゴーの《Dark Core》《LAPIS》(2016)
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 アルネ・ヤコブセンやヴァーナー・パントン、ポール・ヘニングセンなど、いまなお高い人気を誇るデザイナーたちを輩出してきた国、デンマーク。東京・代官山にあるデンマーク王国大使公邸では、そんなデンマークのデザインを体験できるイベント「デンマークデザインイベント:デーニッシュモダンの起源から最新のデザインまで 」が開催されている。

展示風景より

 デンマーク大使館・大使公邸は、日本を代表する建築家のひとりである、槇文彦によるもの。同じく槇建築であるヒルサイドテラスの内部に位置しており、サーモンピンク色の縞状の凹凸があるサーモンピンクのタイルが特徴的な建物だ。

デンマーク大使館

 本展は、デンマークの産業団体である「Danish Industry」とデンマーク商工会議所、そして駐日デンマーク大使館が主催するもの。ルイスポールセンをはじめとするデンマークを牽引する10社の企業が参加し、普段は入ることができないデンマーク大使公邸の住空間でそれぞれのプロダクトを展示している。

展示風景より

 公邸内では、1950年以前、デーニッシュモダンの源流とも言えるコーア・クリントによるデザインから、時代を超えていまなお愛され続けているアルネ・ヤコブセンやヴァーナー・パントンからノーム・アーキテクツやガムフラテージなど、若手デザイナーたちによる最新のデザインまで、家具、照明、インテリア、水栓金具、眼鏡、時計など様々なアイテムが並ぶ。大使の居住空間に溶け込むような展示方法にも注目だ。

展示風景より

 本展のディレクションにも携わったというピーター・タクソ-イェンセン駐日デンマーク大使は、今回の展覧会について「もっとも重視したのは、ここが槇文彦建築ということもあり、その中にデンマークの家具が入るということです」と語る。「アートもこの空間にあうようにキュレーションされており、普段の住空間の姿を見てほしいですね。一貫性をもって、アートやデザインが共存しているということを伝えたいと思います」。

駐日デンマーク大使のピーター・タクソ-イェンセン。後ろはレーネ・アードラー・ピーターセンの《Arthur Karen Blixen》(2016)

 タクソ-イェンセン大使は、「デンマークは子供がデザインとともに育つ国。デザインの機能性はもちろんのことですが、それが自然に生活に溶け込んでいることがポイントなのです」としつつ、デンマークデザインの特徴についてこう語ってくれた。

 「かつてはイギリスやドイツなどの影響を受けたこともありますが、20世紀に入り、いまのデンマークデザインの源ができ、それが現在に至るまで続いています。デンマークデザインは、建築や家具だけでなく、オーディオや陶磁器など様々な分野に応用されており、まさにデンマークのDNAと言えるでしょう」。

展示風景より

 デザインだけでなく、公邸内に展示されてるアートにも注目したい。デンマーク芸術財団は毎年、美術品や工芸品、デザインなど約200点の作品を収集。その数は現在1万2000点以上におよぶ。こうした作品は倉庫に眠らせるのではなく、「使われる」ことが前提となっており、デンマーク全土で学校、病院、裁判所、図書館など様々な公共機関に設置されている。

展示風景より、壁面はヤコブ・イェンセン・ヴェアクの《Un-future Horizon》(2016)

 公邸内にあるアートもこのデンマーク芸術財団のコレクションであり、日本とデンマークの国交樹立150年を記念して設置されたもの。全世界にあるデンマーク大使館のなかでもこうしてデンマークアートが展示されている大使館は数少ないという。日本では鑑賞する機会が少ない作品に触れられるのも嬉しい。

展示風景より、壁面はソーレン・アンドレアセンの《Mass & and Order》(2013)
庭のテーブルにはヴァーナー・パントンの名作「パンテラ」(ルイス・ポールセン社)が展示された

 なお、デンマーク大使館の向かいにあるヒルサイドフォーラムでは、日本とデンマークの建築の影響関係にフォーカスした展覧会も8月8日まで開催中。こちらもあわせて見ることで、デンマークデザインへの理解がより一層深まるだろう。

ヒルサイドフォーラムの展示風景より