東京・原宿に突如として出現した巨大な「顔」。これはアートチーム・目[mé]によるプロジェクト「まさゆめ」だ。
「まさゆめ」は、目[mé]のメンバーであるアーティスト・荒神明香が14歳のときにみた、人間の顔が月のように浮かぶという夢から着想されたもの。これを実現すべく、1000名以上の膨大な公募のなかからひとつの「顔」を選定するための「顔収集ワークショップ」を都内各所で15回行い、最終的に荒神がひとつの「顔」を選び、作品化。見る人の視線を「はね返す顔」が選定のキーワードとなったという
「顔」が浮かんでいる場所は、「東京を景色として象徴してくれるような場所のひとつ」。事前告知はなく、偶然その場所に居合わせた人々が作品に遭遇する可能性や、SNSなどを通じて様々な場所・タイミングで一人ひとりが固有の体験をすることを狙った。
目[mé]のメンバーでディレクターの南川憲二は、実在する個人の顔を空に浮かばせたこのプロジェクトについて、「通常、個人の顔は風景として見ることはできない。『まさゆめ』では雲やビルと同じように、顔が景色の中にある。荒神の夢というプライベートなものを公共事業として行うことで、個と公の関係も問える。想像力を掴み取るきっかけを現代の東京に据えてみたかった」と語る。
また夢を見た張本人である荒神は、「この大変な状況のなかで実現できたことは奇跡。あらゆる意味や合理性を剥ぎ取った一瞬をつくり出すためにみんなが動いた。この景色を見てもらい、想像する力につながればいいと思う」と期待を込めた。
本プロジェクトは7月16日(20時まで。天候により変更の可能性あり)のみの開催。今後の再開催については未定だが、目[mé]は「もし、もう一度顔が浮かぶことがあれば、その出会いをぜひ体験してもらいたい」としている。