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ポンピドゥー・センターの上海ポップアップがついに開館。5年間限定の美術館を見逃すな

パリを代表する美術館であるポンピドゥー・センターが、そのポップアップを上海屈指のアートゾーンである西岸(ウェストバンド)地区に誕生した。5年間限定のこの美術館。その様子を現地からお届けする。

 

ポンピドゥー・センターの上海別館

上海西岸地区とは

 アートの世界でめざましい発展を続ける中国・上海。ここにまたひとつ、注目のアートスポットが誕生する。ポンピドゥー・センターのポップアップだ。

 ポンピドゥー・センターは言わずと知れたパリを代表する近現代美術館。1977年に開館した同館は、屈指の観光地としても人気が高く、2010年にはフランスの地方都市・メスに分館となるポンピドゥー・センター・メスを開館させている。この次なる展開が、上海の西岸(ウェストバンド)となった。

 ウェストバンド地区は、大規模な再開発が続く元工業地帯。広大なエリアには現在、「龍美術館(ロン・ミュージアム)」や「余徳耀美術館(ユズ・ミュージアム)」「上海撮影芸術中心(センター・オブ・フォトグラフィ)」の美術館が並ぶほか、今年に入ってからは石油タンクを改修した「上海油罐芸術中心(TANK Shanghai)」が開館した。

再開発が続くウェストバンド地区の一部
上海油罐芸術中心(TANK Shanghai)

 オオタファインアーツやShanghArtなどのギャラリーも密集するこの地区は、毎年11月には大規模なアートフェア「ウェストバンド・アート&デザイン」が開催され、海外からも多くのアート関係者やコレクターが駆けつけることで知られる。

なぜ上海にポンピドゥー・センターができたのか?

 今回開館したポンピドゥー・センターのポップアップは、「ウエストバンド・ミュージアム・プロジェクト」と呼ばれるプロジェクトによるもので、2024年までの5年間限定の美術館。同地区の再開発を担うウエストバンドグループとポンピドゥー・センターが2017年に戦略的枠組協定を結び、実現したものだ。

 ポンピドゥー・センターは、「西岸美術館(ウェストバンド・ミュージアム)」として建設された建物を、期間限定で利用。建物はロンドン出身の建築家、デイヴィッド・チッパーフィールドが担当した。面積は約2万5000平米で、立方体を複数重ねたようなデザインになっており、駐車場を含めて地下2階から2階までの4層構造。中央には2階までを貫く吹き抜けがあり、それを囲むように展示室が配置されている。

館内の吹き抜け
館内の案内図
建物の裏手
2階からは東岸地区が一望できる

 開館記念展となるのは、10万点におよぶポンピドゥー・センターのコレクションから約100点を紹介する「THE SHAPE OF TIME」(〜2021年5月9日)だ。

 同展は2部構成。第1部では、ポンピドゥー・センターの核とも言える20世紀初頭の作品から、20世紀半ばまでの作家を紹介。パウル・クレーやコンスタンティン・ブランクーシ、アルベルト・ジャコメッティ、パブロ・ピカソなど名だたる作品が並ぶ。このセクションだけを見ても、ポンピドゥー・センターがいかに力を入れているかがわかるだろう。

展示風景
展示風景
展示風景

 後半は、70年代以降の作品によって構成。ヘスス・ラファエル・ソト、クリスチャン・ボルタンスキー、ダニエル・ビュレンといった現代のスター・アーティストたちの名前が並ぶ。

壁に見えるこちらはダニエル・ビュレンの《Never Twice the Same, work in situ》(1968-85/2019)
展示風景より、ヘスス・ラファエル・ソト《Penetable Cube》(1996)
展示風景
展示風景。中央はクリスチャン・ボルタンスキー《Chistian Boltanski Archives 1965-1988》(1989)、右はアネット・メサジェ《My Vows》(1989)

 こうした名品が揃う今回のポップアップ。5日の開幕式にはフランスのマクロン大統領も参加しており、このプロジェクトが同国にとっていかに重要かが推測できる。

 またポンピドゥー・センター会長のセルジュ・ラヴィーニュも、「ポンピドゥー・センターは、つねに中国の芸術シーンの魅力と価値を紹介することに尽力してきました。今後5年間でこの関係がさらに強化され、東西の芸術家と文化機関との対話がさらに促進されると信じています」とコメントしており、中国との関係を重視する態度を示している。

 上海ポンピドゥーでは、2024年までの5年間で3回にわたってポンピドゥー・センターのコレクションを紹介する長期展示を開催。また、6ヶ月ごとに企画展を実施することになっている。この貴重なポップアップと、進化を続けるウェストバンドの様子をぜひ目撃してほしい。

メインエントランス

編集部

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