現代陶芸の新たな可能性を探る。「2024台湾国際陶磁ビエンナーレ」が開催中

2004年から行われている国際的な陶芸展「台湾国際陶磁ビエンナーレ」。今年の展示は4月6日まで台湾の新北市立鶯歌(インゴー)陶磁博物館で開催されており、74名のアーティストによる作品が展示されている。

「2024台湾国際陶磁ビエンナーレ」の展示風景より

 台湾の新北市立鶯歌(インゴー)陶磁博物館で、「2024台湾国際陶磁ビエンナーレ」が4月6日まで開催されている。

 このビエンナーレは、2004年から行われている国際的な陶芸展であり、世界中のアーティストにとって注目される展示の場となっている。近年、作品の応募数が増加し、世界各国から多くの陶芸家が参加する競争の激しいコンペティションとなっている。

 2024年のビエンナーレには、66ヶ国から1216点の応募作品が集まり、過去最高の応募数を記録した。審査には、国際陶芸アカデミー(IAC)の会長であるTorbjørn Kvasbøをはじめ、著名な陶芸家や学者が名を連ねており、審査員たちは、応募作品の質の高さや技術の精緻さ、革新性に注目し、選考を行った。その結果、グランプリをはじめとする受賞作品が決定され、20点の受賞作品と54点の入選作品が選ばれた。

「2024台湾国際陶磁ビエンナーレ」の展示風景より

 「2024台湾国際陶磁ビエンナーレ」の展示では、31ヶ国から74名のアーティストによる作品を展示しており、その多様性と独自性が際立っている。作品は、自然界に対するイメージや造形、空間表現など、様々な側面を表現しており、観賞者は陶土という素材に対する深い理解と技術の熟練を楽しむことができる。とくに、アーティストたちがどのように陶土を使い、空間や時間、自己との対話を通じて現代陶磁と社会とのつながりを表現している様子は、来場者にとって興味深い体験となるだろう。

佐藤雅之 殻の巣22-05(喧騒) 2022

 グランプリを受賞した佐藤雅之の《殻の巣22-05(喧騒)》は、複数の卵殻のような繭状の個体が連結して構成されており、作品全体に生命力を宿らせるような表現だ。金賞を受賞した権真姫の《コンセプトコア-甕》は、韓国伝統の甕を模した作品で、光と影の変化を通して新たな美を生み出している。銀賞を受賞した黄婧の《回#12》は、生命の循環を象徴する作品で、細かい釉薬の流れがその美しさを際立たせている。

権真姫 コンセプトコア-甕 2023
黄婧 回#12 2023

 また、銅賞を受賞したYulia BatyrovaとMarat Mukhametovの《白鳥 III》は、繊細で軽やかな羽毛のように見えるが、実際には一枚一枚焼成した磁器土でつくられた羽毛を貼り付け、鳥の軽やかな形態を表現している。これらの受賞作品は、どれも独自の視点と技術によって現代陶芸の新しい可能性を切り開いており、観賞者に深い印象を与える。

Yulia BatyrovaとMarat Mukhametov 白鳥 III 2023

 新北市立鶯歌陶磁博物館は、2000年11月26日にオープンした、台湾初の陶磁器をテーマにした専門博物館。台湾の陶磁器文化を紹介しながら、陶磁器文化への関心と理解を深めることに尽力してきた。また、鶯歌の陶磁器産業や地域のイメージ向上を目指し、現代陶芸の創作活動の推進や国際交流の促進にも取り組んでいる。さらに、台湾の陶磁器文化に関する調査、収集、保存、維持活動にも積極的に関わり、研究、収蔵、展示、教育普及を行っている。

新北市立鶯歌陶磁博物館

 本展は、陶芸という伝統的な手法が、現代的な視点でどのように表現され、進化しているかを探る貴重な機会となっており、来場者にとっては新たな視点で陶芸を体験できる場だ。陶芸の新たな可能性を追求する作品をぜひ直接見て感じてほしい。

編集部

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