将来性高い若手作家支援を目指し、選りすぐりの作品を紹介・販売する株式会社THE ARTが、現代アーティスト・ナカミツキの個展「MOVED. ー衝動、身体と生きる力ー」を六本木のSPACE A9で開催する。会期は3月5日〜12日。
ナカミツキは1997年兵庫県生まれ。10代前半の半身麻痺での入院生活をきっかけに“音楽”をモチーフとし、身体性と対話をテーマにデジタルネイティブとして育った日常的ツール「iPhone」を用いて作品を制作。ストレッチャーに括り付けられた不自由な身体だが、ジャズの演奏に合わせて体をスイングさせ、その瞬間に感じたことを指先でスマホの画面に落とし込んでゆく。
また、フラットに切り取られた一場面は、iPhone上の仮想キャンバスに何百枚ものレイヤーとなったデジタルデータで制作され、そのデータをリアルなキャンバスに出力したのち、データは瞬時に削除されるという。
本展では、作家が一貫して描き続ける音楽シリーズや、渋谷のストリームで開催中のモノクロのインスタレーションシリーズ、新作シリーズの約40作品を一堂に紹介。
本展のために出品される新作シリーズでは、「手」が大きな役割を担うようになる。身近な人の死を目の当たりにしたことをきっかに制作されたこのシリーズは、その際に感じとった戸惑いや悲しみ、懐かしさや愛おしさといった感情に突き動かされる(=moved)ように仕上げられている。
また新たな試みとして、デジタルから出力された作品にアナログでの肉筆を加えたものも発表。作品のなかに描かれる人物や身体的要素、喜怒哀楽による衝動と連動させ、身体性を追求した表現が生み出されている。
音楽から表現された瞬間的な彩度と空気感、滑らかかつ力強い線が特徴的なナカミツキの作品。観る者に与える、人の魂に響き合う衝動をぜひ会場で体験してほしい。