小池一子の仕事を総括する展覧会が3331で開催。横尾忠則や森村泰昌、内藤礼らも参加

日本で初めての“オルタナティブ・スペース”である「佐賀町エキジビット・スペース」を1983年に創設した小池一子。その仕事を総括する展覧会「オルタナティブ! 小池一子展 アートとデザインのやわらかな運動」が、アーツ千代田3331で開催される。会期は1月22日~3月21日。

シュウゾウ・アヅチ・ガリバー 肉体契約 1984 ©Shuzo Azuchi Gulliver

 1960年代以降の日本のクリエイティブ領域の黎明期を、コピーライター、編集者、クリエイティブ・ディレクターとして牽引してきた小池一子。その仕事を総括する展覧会「オルタナティブ! 小池一子展 アートとデザインのやわらかな運動」が、アーツ千代田3331で開催される。会期は1月22日~3月21日。

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 小池は1980年に無印良品の立ち上げに参画し、83年には日本初のオルタナティブ・スペース「佐賀町エキジビット・スペース」を創設。武蔵野美術大学で教鞭を執る傍ら、2000年にはヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展において日本館の展示「少女都市」をキュレーション。以降も「田中一光とデザインの前後左右」展(2012、21_21 Design Sight)キュレーションや、「東京ビエンナーレ2020/21」総合ディレクターなどを務め、精力的に活動を続けている。

 本展は、そんな小池の仕事を「中間子」と「佐賀町」のふたつに分けて展示を構成するもの。

 「中間子」とは、日本初のノーベル賞受賞の主題に着想し、何かと何かを結びつけて新しい価値を生むという小池の仕事の象徴として選ばれた言葉だ。デザインやアート、そのものではないが創作に関わる共作を“見える化”する意図を込め、クリエイティビティ溢れる活動をアーカイブ資料を中心に展覧。「編集/執筆の仕事」「翻訳の仕事」「コピーライトの仕事」「各キュレーションの仕事」「無印良品」のジャンルをカバーし、1959年からのポスター、雑誌、書籍など約200点が並ぶ。

 また、「中間子」会場では映像ディレクター・小松真弓による、映像作品も上映。大竹伸朗、立花文穂、杉本博司、小柳敦子、金井政明など、小池一子をよく知るアーティスト、企業家、文化人らが、「人間・小池一子」について語る貴重なインタビュー映像も見逃せない。

『Japan Coloring』書籍 1982(リブロポート)
AD.田中一光
『Japan Design』書籍 1984(リブロポート)
AD.田中一光
「PARCO感覚。」広告 1972
AD.石岡瑛子 I.山口はるみ P.操上和美
「現代衣服の源流展」展覧会 1975(京都国立近代美術館)
AD.(ポスター)田中一光

 いっぽうの「佐賀町」は、「現代美術家の孵化器」といわれ、2000 年の閉廊までに106の展覧会やパフォーマンスなどの表現活動を展開した「佐賀町エキジビット・スペース」にフォーカスしたもの。同スペースで展覧会を行った作家による、当時の貴重な作品が約40点展示される。出品作家は大竹伸朗、岡部昌生、片山雅史、小金沢健人、駒形克哉、シェラ・キーリー、シュウゾウ・アヅチ・ガリバー、佐藤時啓×野村喜和夫、白井美穂 × 浜田優、白川昌生、杉本博司、立花文穂、巻上公一、森村泰昌、横尾忠則、吉澤美香、ヨルク・ガイスマールなど20名。

横尾忠則 TEARS 1991 ©Tadanori Yokoo
森村泰昌 批評とその愛人(4) 1989 ©Yasumasa Morimura

 なおアーツ千代田3331地下1階にある「sagacho archives」では、内藤礼の作品《地上にひとつの場所を》(1991/2022)を開催(鑑賞は事前予約制)。また、佐賀町エキジビット・スペースの軌跡を記録した林雅之による写真も展示される。

 そのほか館内では、小池の教え子達が制作するファッションやデザインアイテムを販売する「ブティック」と、 小池の著書等を自由に閲覧できる「アーカイブ」を併せ持ったスペース「アーカイブティック Archi-boutique」も開設。 会期中には巻上公一によるパフォーマンス(事前予約制)やトークなど様々なイベントも開催予定となっている。

 自らも表現者でありつつ、日本の現代アーティストたちを支えた小池の仕事を総括する本展。60年代から現在までの時代や社会、そして芸術家・クリエイターの軌跡をたどる機会ともなるだろう。

大竹伸朗 Musician 1985 ©Shinro Ohtake, Courtesy of Take Ninagawa, Tokyo
立花文穂 クララ洋裁研究所 2000 ©Fumio Tachibana 撮影=久家靖秀
巻上公一 何もかも踊れ 1987 佐賀町エキジビット・スペース ©Koichi Makigami

編集部

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