2021.7.7

JICA横浜がリニューアル。大岩オスカールや藤浩志の作品を常設

みなとみらいに位置する「JICA横浜」がリニューアル。国内外で活躍する複数のアーティスト・クリエイターが参画し、国際協力がテーマのアートワークを取り入れる新たなコンセプトのもと、展示や施設空間が新たに生まれ変わった。

2階の大岩オスカール《トラベリング・アラウンド・ザ・ワールド》(部分) 撮影=加藤健
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 独立行政法人国際協力機構が運営するJICA横浜(独立行政法人国際協力機構 横浜センター)がリニューアル。アーティストたちの作品を常設展示する施設へと生まれ変わった。

JICA横浜 撮影=加藤健

 JICA横浜は、日本人の海外移住の歴史および移住者と日系人の現在を伝える海外移住資料館を擁し、国際協力事業や地域連携事業、移住者・日系人支援事業、SDGsへの取り組みなど、様々な事業を手がける施設。今回のリニューアルでは、オフソサエティ株式会社の長田哲征ディレクションのもと、JICA横浜が実施する事業と関わりの深い複数のアーティストをはじめ、イラストレーターや建築家など、複数のクリエイターが参画している。

 1階・2階ギャラリーでは、JICA横浜が取り組む国際協力や地域連携事業、SDGs、移住者・日系人支援事業を紹介する新たな常設展示が誕生した。この展示デザインは、大阪を拠点にするdot architects(ドットアーキテクツ)が手がけており、世界の海と、大陸や島をモチーフにデザインされた。またグラフィックデザインは原田祐馬により設立された「UMA/design farm」が担当。写真や図を交えながらわかりやすく学べる展示となっている。

1階ギャラリー 撮影=加藤健
1階ギャラリー 撮影=加藤健

 今回のリニューアルでもとくに注目したいのは、国際的に活躍している日系ブラジル二世のアーティスト・大岩オスカールによる新作だ。

 大岩は《トラベリング・アラウンド・ザ・ワールド》と題された新作をJICA横浜内の3ヶ所(1階エントランス、2階エントランス、列柱)に設置。これらすべてでひとつの作品として構成されている。

2階エントランスの大岩オスカール《トラベリング・アラウンド・ザ・ワールド》 撮影=加藤健

 本作では、横浜や神戸から出航した実在の移民船や、移民船が出航した20世紀初頭の横浜港の風景などが描かれており、日本から新天地へと渡って行った移住者への賛辞・敬意が込められている。

 なお1階エントランスに設置予定の作品は、大岩本人が今後来日し、ガラス面に直接手書きで制作することを予定しているという。

吹抜柱に展示された大岩オスカール《トラベリング・アラウンド・ザ・ワールド》 撮影=加藤健
吹抜柱に展示された大岩オスカール《トラベリング・アラウンド・ザ・ワールド》 撮影=加藤健

 3階レストラン「ポートテラスカフェ」では、日系ブラジル三世のアーティスト、ジェームズ・クドウが作品を設置した。3つの柱に展示される《Territorial Displacement》と名付けられた本作は、中南米地域の自然から着想を得ながら、世界に共通して存在する大地、空、植物、鳥などがモチーフとして描かれている。鮮やかな色彩にも注目だ。

ジェームズ・クドウによる《Territorial Displacement》 撮影=加藤健

 2階では、青年海外協力隊OBでアーティストの藤浩志が制作したインスタレーション《メッセンジャー》を見ることができる。本作は、中南米地域の日系人及び日系社会ボランティア等の関係者から、開拓時の苦労話や、日本人移住地に生息し遭遇した動植物とのエピソードを募集し、その情報をもとにJICA 横浜の2階に「移住地」を誕生させたもの。

藤浩志によるインスタレーション《メッセンジャー》 撮影=加藤健

 移住当時の原始林に生息していたアリクイやアルマジロ、日本人移住地にいまも生息するナマケモノやカピバラを「メッセンジャー」と見立て、来館者が、彼らを通じて移住者からのメッセージを受け取るとともに、次世代や未来に向けたメッセージを書き残していけるというコミュニケーションをテーマとした、参加型作品だ。

藤浩志によるインスタレーション《メッセンジャー》(部分) 撮影=加藤健

 なお2階には、日本人の海外移住の歴史や異国での生活の様子、文化などをリサーチし描いたイラストレーター・イクタケマコトのぬり絵作品《日系移民の歩み》も展示。ぬり絵として、来館者が楽しみながら日系社会について知ることができる参加型の作品となっている。

イクタケマコトのぬり絵作品《日系移民の歩み》 撮影=加藤健

 JICA横浜の事業と連携し、この場所のために制作された作品群。アートを楽しみながら、国際協力や日系社会について学んでみたい。