6月7日から8日にかけ、フィリップスが北京のポリーインターナショナルオークションと共同で、20世紀・現代アート&デザインセールを香港と北京の2ヶ所にて開催する。7日にデイセール、8日にイブニングセールが行われ、ゲルハルト・リヒターやジョージ・コンドなどの欧米人のアーティストから、奈良美智や草間彌生などの日本人アーティストによる作品、そしてアモアコ・ボアフォやサルマン・トーアなどの新進気鋭の作家まで、多様性に富んだ作品の数々が出品される。
いずれのセールも世界中にライブ配信され、Phillips.comまた同社のアプリから観ることができる。また、日本からは日本語での電話ビッドやオンライン入札も可能だ。以下のハイライトをチェックし、オークションに参加してみてはいかがだろうか。
奈良美智
奈良美智のキャンバス作品のなかでも、オークションに出品されることのない希少な作品《Missing in Action》が8日イブニングセールの注目作品だ。制作年の2000年は奈良が12年間のドイツでの修行生活を終えて帰国した年であり、アメリカで初の美術館個展をシカゴ現代美術館とサンタモニカ美術館で開催したターニングポイントでもある。また、同年に描かれた作品《Knife Behind Back》は、2019年のオークションにて2490万ドル(約27億円)で落札され、日本人アーティストとしてはオークションにおける過去最高額を記録した。
《Missing in Action》は、もの言いたげな表情が目を引く少女が描かれた作品。未知の存在や、鑑賞者に対する不信感や嫌悪感をも表現しているようだ。本作と同じく緑のドレスを着た少女を描いた作品《Hothouse Doll》は、昨年のオークションにて1億300万香港ドル(約14億円)で落札され、アーティストのオークション記録第2位(当時)にランクインしている。
ゲルハルト・リヒター
2015年に制作されたリヒターの抽象画《Abstraktes Bild(940-7)》は、今回オークションに初出品。本作は、これまでにオークションに出品された2000年以降のアーティストによるキャンバスの油彩画のなかでも最大級のものであり、赤と黄色の豊かな色調で構成され、色彩と質感が包み込むような輝きを放つ。
バンクシー
過去20年間、作品が称賛と批判の両方を巻き起こしてきたバンクシー。その2002年制作の作品《Laugh Now Panel A》では、「いまは笑っていても、いつかは私たちが責任をとる。」とも訳せるメッセージが書かれたサンドウィッチボードを身につけた寂しげなサルが描かれている。彼ならではのダークでシニカルなテーマを醸し出しており、様々な憶測が飛び交う作品だ。
本作の入札は香港ドルで行われるが、Coinbaseを通して落札価格、バイヤープレミアムともに仮想通貨(ビットコインまたはイーサリアム)での支払いが可能。アジアの主要オークションハウスが手がけるイブニングセールで、初めて物理的な作品の支払い方法として仮想通貨を導入することとなる。
KAWS
丸みを帯びたスカルと、目にはXをあしらった特徴的なキャラクターで知られているKAWS。現在、ニューヨークのブルックリン美術館でキャリアを振り返る回顧展を開催しており、7月16日〜10月11日には森アーツセンターギャラリーで大規模な展覧会「KAWS TOKYO FIRST」を開催予定となっている。
8日のセールでは、KAWSが初めて立体的に表現した、その代表的なキャラクター「COMPANION」が抱き合う作品《TOGETHER》が初めてオークションに出品。加えて、2000年に制作された、『スター・ウォーズ』シリーズに登場する銀河帝国のエリート宇宙兵をCOMPANIONに変身させた《UNTITLED(STORMTROOPERS)》や、円形キャンバスにトレードマークである「XX」のモチーフと、ポップで抽象的な要素を融合させた《Untitled(HTLA9)》などが7日のデイセールに登場する。