ガラス芸術の可能性を切り開く。「富山ガラス大賞展2021」が募集を開始

世界における現代ガラス芸術の最新の成果を集め、その発展に貢献するために開催されるトリエンナーレ形式の国際公募展「富山ガラス大賞展」。その第2回の作品募集がスタートした。

 現代ガラス芸術に特化したトリエンナーレ形式の国際公募展「富山ガラス大賞展」。その第2回の作品募集が7月1日にスタートした。

 富山市は、古くは1985年より富山市民大学ガラス工芸コースを開設し、2015年には富山市ガラス美術館を開館させるなど、ガラス芸術への取り組みに注力してきた自治体。その富山市が、3年に1回開催している国際公募展が、「富山ガラス大賞展」だ。

「富山ガラス大賞展2018」展示風景(2018年9月15日〜11月25日、富山市ガラス美術館) 撮影=岡村喜知郎

 初回となった2018年には、世界46の国と地域から1110点もの応募を集め、延べ2万人程度が来場した本展。2回目となる今回は、12月10日まで作品募集を行い、1次審査(画像審査)、2次審査(実作品審査)を経て、2021年4月に受賞作品を決定する予定だ。

 募集作品はガラスを主体とした作品で、ジャンルや機能は不問。ただし、18年4月以降に制作され、他の公募展に応募していない作品が対象となる。賞金は、大賞(1点)が300万円、金賞(1点)が100万円、銀賞(5点)が20万円、今回新設された審査員特別賞(2点)が10万円。

2018年の大賞であるアエサ・ビョルク《Shield II》(2018)
Sound: Thorsteinsdottir Tinna、Technical assistant: Kopel Josh and Einarsdottir Nanna
175×75×100cm 富山市ガラス美術館所蔵 撮影=岡村喜知郎

 審査員は1次審査が、ダイアン・C・ライト(トレド美術館暫定理事、ガラス装飾美術担当上級学芸員)、伊東順二(富山市ガラス美術館名誉館長、東京藝術大学社会連携センター特任教授、美術評論家)、渋谷良治(富山市ガラス美術館長)、島敦彦(金沢21世紀美術館長)、スザンヌ・J・ヨンソン(デンマーク王立美術院企画ディレクター)、ザン・リン(上海ガラス博物館、創立者、館長兼執行総裁)。2次審査は秋元雄史(東京藝術大学美術館館長・教授、練馬区立美術館館長、美術評論家)、デビン・マティス(アーバングラス事務局長)、伊東順二、スージー・J・シルバート(コーニングガラス美術館、近現代ガラス学芸員)、スヴェン・ハウシュク(フェステ・コーブルク・アートコレクション館長、ヨーロッパ近代ガラス美術館学芸員)、武田厚(多摩美術大学客員教授、美術評論家)が務める。

2018年の金賞である藤掛幸智《Vestige》(2018) 40×55×56cm 撮影=岡村喜知郎

 1950年代のチェコや60年代のアメリカなどで、ガラスを芸術表現の素材として用いる新しい造形運動に端を発した現代ガラス芸術。21世紀にますますその表現領域を広げたこの分野で、本展は造形表現の新たな展望を開くと同時に、「ガラスの街とやま」が現代ガラス芸術の拠点として世界に羽ばたく契機となることを目指す。

編集部

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