11月14日にサザビーズ・ニューヨークで開催された近代美術イブニングセールで、ピート・モンドリアンの絵画《Composition No. II》(1930)が5100万ドル(約71億円)で落札され、アーティストのオークション記録を塗り替えた。
ヨーロッパのコレクターから出品された同作は、1983年に215万ドルで福岡銀行によって落札され、当時のモンドリアンのオークションレコードを更新して以来、約40年ぶりにオークションに出品。モンドリアンのこれまでのオークションレコードは、2015年にクリスティーズ・ニューヨークで落札された《Composition No. III, with Red, Blue, Yellow and Black》(1929)の5060万ドルで、今回の作品はアジアのコレクターによって落札されたという。
作品の右上に赤い四角が描かれたモンドリアンの作品は3点のみ現存しており、今回の作品はそのうちの1点。ほかの2点はセルビアのベオグラード国立博物館とスイスのチューリッヒ美術館に所蔵されている。また、モンドリアンが1921年から33年にかけて制作した約120点の作品のうち、赤を使用したのは17点のみで、そのうち個人に収蔵されているのは3点のみだという。
サザビーズ・ヨーロッパ会長のオリバー・バーカーは声明文で、今回の落札結果は「この傑作の紛れもない品質を証明するものであり、描かれてから約100年経った今日でも同様に活気に満ちている」とコメントしている。
この近代美術イブニングセールに加え、サザビーズ・ニューヨークは14日にホイットニー美術館の元理事であるデイビット・ソリンガーのコレクションセールも開催。両セールでは合計3億9120万ドル(約546億円)の売上高を達成し、サザビーズ史上3番目に高いとなった。
ソリンガーのコレクションセールでは、23点の出品作品がすべて落札され、事前の最高予想落札総額の1億1800万ドルを上回る1億3790万ドル(約192億円)を達成した。なかでも、アルベルト・ジャコメッティ《Trois hommes qui marchent (Grand plateau)》(3020万ドル)、ウィレム・デ・クーニング《Collage》(3360万ドル)、ジョアン・ミロ《Femme, étoiles》(1780万ドル)などの作品が高額で落札された。
いっぽうの近代美術イブニングセールでは、上記のモンドリアンの作品のほか、ニューヨーク近代美術館(MoMA)元会長ウィリアム・ペイリーのコレクションからパブロ・ピカソの《Guitare sur une table》(1919)が70年以上ぶりにオークションに出品され、3710万ドル(約52億円)で落札された。また同セールでは、エレイン・デ・クーニングの《Charge》は110万ドル(約1億5400万円)で落札され、アーティストのこれまでのオークションレコードの約2倍となった。