アートマーケットを追いかける人なら、秋になると飛行機の予約をとり、予定をぎっしり詰め、アートを売買する機会が絶えなくなることをご存知だろう。
先週は、フリーズ・ロンドンとフリーズ・マスターズの開催に合わせ、大手オークションハウスが一斉にロンドン・マーキー・オークションを開催。バーゼルによる初開催となる「Paris+」の前の、つかの間のホットスポットとなった。
10月14日には、サザビーズが現代美術デイセールに先立ち、「The Now」イブニングセールと現代美術イブニングセールを開催した。今年のサザビーズのオークションラインナップとその結果を見ると、より大きな購買傾向を読み取ることができる。昨年の同時期、サザビーズがフリーズ・ロンドンと同時に開催したオークションは、現代美術のイブニングセールとデイセールの2つだけだった。昨年のイブニングセールでは、新進気鋭のアーティストと20・21世紀の巨匠を紹介。42ロットが落札され、総額6594万3950ポンドの落札額を達成した。
今年は、イブニングセールが2つに分けられた。「The Now」イブニングセールは、若手や新進のアーティストに対する需要の高まりに応じ、厳選された17点の作品が出品され、1138万5200ポンド(約19億円)の総額を記録した。そのわずか1時間後に開催された現代美術イブニングセールでは、戦後および現代の著名なアーティストによる34点の作品が出品され、総額は8574万3450ポンド(約144億円)となった。この2つのオークションの合計ロットは42(うち9ロットは競売にかけられなかった)。総額は約9610万ポンド(約161億円)に上っている。
サザビーズの「The Now」は、人気の高いアーティストの作品を、従来のように定評のある同時代のアーティストと並べるのではなく、独自のオークションに出品することで、若手作家に特化したオークションスペースを確保し、このマーケットに関心を持つバイヤーをより多く呼び込むことができるようになった。
若手アーティストの熱狂的な人気が衰えているという推測が以前からあったにもかかわらず、今回の出品作品を見ると、このグループのアーティストに対する需要が健在であることは明らかである。