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マン・レイの《アングルのバイオリン》が競売に。写真作品として史上最高額の可能性も

今年5月、マン・レイの代表作のひとつである《Le Violon d'Ingres(アングルのバイオリン)》(1924)がクリスティーズに出品される。500万ドル〜700万ドル(約5億7500万円〜8億円)の予想価格で落札されれば、オークションにおける写真作品としては過去最高額となる。

マン・レイ Le Violon d'Ingres 1924 出典=プレスリリースより

 今年5月、クリスティーズ・ニューヨークがアメリカのファッションバイヤー、ロザリンド・ゲルステン・ジェイコブスと夫メルヴィン・ジェイコブスのコレクションから、シュルレアリスムの写真や絵画、彫刻などの作品を出品する。合計落札額は2000万ドル(約23億円)以上と推定されている。

 ハイライトは、マン・レイの代表作であり、ミューズのキキ・ド・モンパルナスを撮影した写真《Le Violon d'Ingres(アングルのバイオリン)》(1924)。予想落札価格は500万ドル〜700万ドル(約5億7500万円〜8億円)で、この価格帯で落札されれば、オークションでの写真作品としては過去最高額となる。

 クリスティーズのインターナショナル・ヘッド・オブ・フォトグラフであるダリウス・ヒムズは、同作は「間違いなく20世紀を代表する作品のひとつだ」と評価。手作業で暗室処理が行われた同作は、1962年にロザリンドに渡されるまで、作家が保有していたという。「ロマンチックで、ミステリアスで、いたずら好きで、遊び心のあるこのイメージの影響力は、100年近くにわたって人々の心をとらえ続けている。写真作品としては、市場で前例のないものだ」。

 これまでのマン・レイのオークション記録は、2017年にクリスティーズ・パリのセールで落札されたオリジナル版《Noire et Blanche》(1926)の300万ドル(約3億4500万円)。現在の写真作品におけるオークション記録はアンドレアス・グルスキーが保持しており、1999年の風景写真《Rhein II》が2011年にクリスティーズで430万ドル(約5億円)で落札されている。

 今回のオークションでは、このほかルネ・マグリットの絵画《L'autre son de cloche》(400万ドル〜700万ドル)、《Eloge de la dialectique》(250万ドル〜450万ドル)や、ロザリンドがマン・レイから購入したマルセル・デュシャンのオブジェ《Feuille de vigne femelle》(50万ドル〜80万ドル)などもハイライトとして出品される。

 クリスティーズの印象派・近代美術副部門長であるシアン・チュトコウは、声明文で次のようにコメントしている。「この特別なコレクションは、ヨーロッパとアメリカのシュルレアリスムのアーティストたちの多様な作品で構成されている。これらのアーティストたちは、ジェイコブスが気の合う仲間だと感じており、アーティストたちが経済的に困窮していたときには、彼らがプロとして支援していた。このコレクションのすべての作品にはユニークなストーリーがあり、その逸話は親しい友人関係の価値をさらに高めている」。

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