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ルネ・マグリットの《光の帝国》がサザビーズで競売へ。予想落札価格は69億円以上

シュルレアリスムの代表的な画家、ルネ・マグリットの《L'empire des lumières(光の帝国)》(1961)が、3月2日にサザビーズ・ロンドンで開催されるイブニングセールに出品される。予想落札価格は6000万ドル(約69億円)以上と推定されている。

ルネ・マグリット L'empire des lumières 1961 Courtesy of Sotheby's

 シュルレアリスムを代表する画家のひとり、ルネ・マグリット。その1961年の作品《L'empire des lumières(光の帝国)》が、3月2日にサザビーズ・ロンドンで開催されるモダン&コンテンポラリー・イブニングセールに出品される。予想落札価格は6000万ドル(約69億円)以上と推定されている。

 1948年、マグリットは昼と夜の両方を同時に表現したテーマの作品を制作し始め、その後十数年のあいだに「L'empire des lumières(光の帝国)」と題されたシリーズとして17点の油彩画を発表した。同シリーズの作品は現在、ペギー・グッゲンハイム・コレクション(ヴェネチア)、ニューヨーク近代美術館(ニューヨーク)、メニル・コレクション(ヒューストン)、ベルギー王立美術館(ブリュッセル)などに所蔵されている。

 今回の作品は、マグリットが1961年にパトロンのピエール・クロウエの娘であるアンヌ=マリー・ジリオン・クロウエ男爵夫人のために制作されたもので、同シリーズの作品において横長のフォーマットでは最大級のスケールを誇る。

ルネ・マグリット L'empire des lumières 1961 Courtesy of Sotheby's

 作品では、明るい青空の下に暗い夜道が描かれており、一見相容れないふたつの要素を組み合わせることで「偽りの現実」をつくり上げている。サザビーズ・ヨーロッパ会長兼印象派・近代美術ワールドワイド・ヘッドであるヘレナ・ニューマンは、「この映画のような絵画は、その圧倒的なスケールで、見る者をマグリットの時空を超えた世界に引き込む」と評価している。

 オークションに先立ち、同作はロサンゼルス(1月11日〜14日)、ニューヨーク(1月22日〜27日)、香港(2月8日〜9日)、ロンドン(2月22日〜3月2日)のサザビーズのギャラリーで公開予定となっている。

 なおマグリットのこれまでのオークション記録は、2018年のサザビーズ・ニューヨークで落札された《Le Principe du Plaisir》(1937)の2683万ドル(約31億円)。今回の作品が予想価格で落札されれば、現在のオークション記録をはるかに上回ることになる。

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