新型コロナウイルスの影響で大規模な国際アートフェアが相次ぎ中止となっているなか、中国本土最大級のアートフェア「ウェストバンド・アート&デザイン」が、今年の出展者リストを発表した。
中国で実施されている厳格な入国制限にもかかわらず、今年で第7回目の開催を迎える同フェアには50近くのギャラリーが参加。昨年の実績である108ギャラリーより約半減するが、参加ギャラリーにはガゴシアンやハウザー&ワース、ペース、ペロタンなどのメガギャラリーが名を連ねており、そのうちの約半分は国際的なギャラリーとなる。こうしたメガギャラリーのほとんどは中国本土や香港にスペースを持っているからだ。
開催にあたり、海外からの渡航者は、14日間の集中隔離とPCR検査が実施される。初回から参加してきたハウザー&ワースのシニア・ディレクターであるリーシン・ツァイは、今年のフェアについて次のように述べている。
「今年は非常に特別な年であり、(中国国内における新型コロナウイルスの)大流行が抑制され、フェアが予定通り開催されることを嬉しく思う。このような特別な1年を経て、皆が(対面で出会えることを)もっと大切にすると信じている」。
また、2017年に上海のウエストバンド・エリアにスペースを開設したオオタファインアーツの代表・大田秀則は、「もともと中国国内のコレクターとのコミュニケーションを大切にしてきたので、もちろん他国から集まることが望ましいが、とくに中国国内の新しい出会いに期待している」としながら、規模縮小のフェアについてこうコメントしている。
「ウェストバンドでギャラリーを日々営業するなかで、皆安全に考慮しながら自由に暮らしていけているように感じる。コロナ禍の制限があるなかで中国は社会的制限や消費の落ち込みの回復度合いが早いと感じるので、相対的にみて不安は感じていない」。
今年は、絵画、彫刻、インスタレーションなどの大規模なアートプロジェクトを会場内外で展示する「Xiàn Chǎng(現場)」セクションや、映像上映プログラム「video」もふたたび開催。また、アーティストやキュレーター、美術館館長、コレクターなどによるトークプログラム「West Bund Voice」も初めて行われる。
なお今年のフェアは、スイス最大の銀行であり「アート・バーゼル」のパートナーとして知られる「UBS」とパートナー契約を結ぶ。同社のウェルス・マネジメント中国代表であるマリーナ・リュイは、今回のパートナーシップについてこう述べている。
「中国を代表するアートフェアに協賛し参加して、アートに情熱を燃やす人たちとつながることができることに感激している。デジタル技術がアートの世界を変えたとはいえ、現場でアートを見る喜びに代わるものではない。アートは、私たちのDNAの不可欠な部分であり、私たちは、アートがクライアントとコミュニティに価値ある洞察を提供する力を持っていると信じている」。