武蔵野美術大学(以下、ムサビ)が学生に向けて5月11日に公開した「生成系人工知能(生成AI)についての学長からのメッセージ」が話題を呼んでいる。
このメッセージが発表された背景には、昨今のChatGPTをはじめとした生成系人工知能(以下、生成AI)についての議論の高まりが挙げられる。最近では様々な教育機関でそれらの使用に対する懸念や使用の制限が発表されるなか、ムサビは「美術大学」という学びの場から独自の見解を発表した。
メッセージは全6項目。注目されるべきは、ただ懸念点のみを列挙し使用の制限を図るのではなく、生成AIの危惧するべき側面を十分理解したうえで、その技術を柔軟に活用、制作や研究に真摯に向き合うことを促している点にあると言える。
美術大学としてはよりよい「学び」を得てもらうべく、こうした新技術を柔軟に活用し、また危惧される側面にも十分に配慮し、制作や研究に真摯に向き合ってもらいたいと期待しています。このメッセージでは、以下の6点を軸に、生成AIをめぐる現状と課題について大学としての見解を記述します。
・身近なツールとなってきた生成AIを、まずは自分の目で確かめてみよう。
・生成AIの問題や可能性についてより深く考えていこう。
・個人情報や機密情報、また悪意のある内容の入力は絶対にしてはいけません。
・レポートや論文に、生成AIの回答をそのまま用いて提出することを禁止します。
・生成AIを引用するときは出典として明記してください。
・生成AIの回答をそのまま「自分の作品(自作)」として提出することを禁止します。
(武蔵野美術大学 公式ウェブサイト「生成系人工知能(生成AI)についての学長からのメッセージ」より、一部抜粋)
全文は武蔵野美術大学公式ウェブサイトより読むことができるため、この機会に目を通してみてはいかがだろうか。美術大学の学生に限らず、社会で日々生成AIと向き合う我々にとってもあらためて考慮しておきたい内容だ。