千葉・木更津にあるサステナブルファーム&パーク「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」内に、中村拓志(NAP 建築設計事務所)の設計による「地中図書館」が2月16日にオープンする。
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KURKKU FIELDSは「育てる・作る・食べる・循環する」を感じられる場所を目指し、約30ヘクタールの土地を10年前から少しづつ整備。草間彌生やカミーユ・アンロ、Chim↑Pom from Smappa!Groupらの屋外作品でも知られ、昨年秋には園内に宿泊施設「cocoon」がオープンした。
今回、KURKKU FIELDS内にオープンする「地中図書館」は、「晴れた日には畑を耕し、雨の日には読書をする」という晴耕雨読な生き方を志向する人々のために構想された。
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地中図書館を設計したのは、NAP建築設計事務所の中村拓志。中村は1974年東京生まれで、隈研吾建築都市設計事務所を経て2002年にNAP建築設計事務所を設立。「建築・自然・身体」の有機的関係の構築を信条に「東急プラザ表参道原宿」(2012)、「狭山の森礼拝堂・狭山湖畔霊園管理休憩棟」(2013-14)、「ZOZO本社屋」(2020)などを手がけてきた。これまでに日本建築学会賞、ARCASIA Awards for Architecture、JCDデザインアワード大賞を受賞している。
地中図書館がつくられのは、建設残土で埋め立てられた谷の上に緑を取り戻した土地。その谷筋の裂け目にある洞窟のような空間として設計された。内部は本棚が取り囲み、梁や柱といった建築的な要素は極力排除。天井高は土地の傾斜に応じて決まったため、子供の背丈がちょうど入る低い天井の場所や、小さな隠れ部屋が生まれたという。
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最深部には読み聞かせのためのホールを設置。外部から取り入れた空気を開閉式のトップライトから外へ送り出す、自然重力換気のエコシステムを持ち、階段状の席を取り囲む本棚には、農園で働く人たちの蔵書や子供のための本が並ぶ。
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本施設の選書は、選書家・川上洋平が手がけた。オープン時は約3000冊が並び(最大収容可能数は8000冊)、自然や農的な暮らしに関するものを中心に、詩、哲学、歴史、宗教、科学や経済にも独自の広がりやつながりが感じられる選書がされている。
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施設の利用はKURKKU FIELDSの会員が対象。事前予約をすることで無料で利用することができる。