7月10日に投開票が予定されている第26回参議院議員通常選挙(参院選)。その投票を前に、与野党が20項目43問の質問に回答した「みんなの未来を選ぶためのチェックリスト -参議院選挙2022-」(以下、チェックリスト)が公開された。ここではチェックリストを作成・公開した事務局の許可を得て、文化政策に関する部分を抜粋してお届けする。なおすべての質問・回答については「みんなの未来を選ぶためのチェックリスト -参議院選挙2022-」公式ウェブサイトを参照してほしい。
同リストにある文化芸術に関する質問事項は次の通り。先進諸国のなかでも低い水準にある日本の文化予算(国家予算に占める文化支出の比率)について問うものだ(なお海外各国との文化支出比較は文化庁「諸外国における文化政策等の比較調査研究事業報告書」に詳しい)。
日本の文化芸術に対する支出は国家予算の0.11%(コロナ対応予算除く)で、韓国の約1/10、ドイツやフランス等と比べても圧倒的に低い割合です。
国家予算に占める文化支出を増額しますか? 増額する場合、どの程度増額しますか?
この質問への回答は以下の通りとなり、日本維新の会以外のすべての党が○と答えている。
各党の詳細を見ていこう。各党回答は○✕のほか、【増額する場合、どの程度増額しますか?】【補足説明】の2項目が回答できるようになっている。
自民党は具体的な数字については触れていないが、補足説明で「文化芸術基本法に基づき、文化芸術活動への支援や、伝統文化の継承・発展や文化財の保存・修理・活用に取り組むなど、世界に誇るべき『文化芸術立国』を実現します」と回答。立憲民主党も具体的な数字ではなく、「日本全国で多様な文化芸術が発展できるような予算を目指します」としており、曖昧な点は否めない。
日本共産党は「日本の文化予算は、2022年度は1076億円で、諸外国と比べあまりにも少額」と指摘。2021度コロナ対策の補正予算905億円とあわせた2000億円程度を維持することが必要だと主張している。
社民党は国家予算に占める文化支出を現在の4倍近い額「ドイツ並みの0.4%以上」にすべきだと回答しており、「文化芸術活動は、各分野におけるアーティストによる表現活動であり、私たち市民社会へ、とりわけ精神的な豊かさをもたらす人間にとって必須な活動です。伝統や規模にかかわらず、これら活動とその活動の場所を絶やさないことは、市民社会の文化的成熟のためにも、国が積極的に支援をすることが重要です」と補足説明している。
「✕」と回答した日本維新の会だが、全党のなかでは唯一、アーツカウンシルの導入に言及。補足説明として、「施設等の箱モノ整備や補助金支給にとどまりがちな文化芸術施策を見直し、文化施設のコンセッション方式やアーツカウンシルの導入を促進するとともに、各種法令の規制緩和を行うなど、芸術家等が自立して活動・発表できる機会を多面的に提供する」と回答している。