ウィリアム・ケントリッジが手がけるオペラ『魔笛』が新国立劇場で開催。コマ撮りドローイングで演出

南アフリカ出身のアーティスト、ウィリアム・ケントリッジが手がける、モーツァルトのオペラ『魔笛』が新国立劇場で開催される。

新国立劇場『魔笛』2018年公演より 撮影=寺司正彦

 モーツァルトのオペラ『魔笛』を、アーティストのウィリアム・ケントリッジが演出した舞台が、新国立劇場オペラパレスで上演される。

 ケントリッジは、南アフリカ・ヨハネスブルク生まれ。ビジュアルアーティストとして、ドローイングやアニメーション、演劇活動、オペラ演出で国際的に評価されてきた。日本では2009年から10年にかけて、京都国立近代美術館、東京国立近代美術館、広島市現代美術館で大規模な展覧会「ウィリアム・ケントリッジ──歩きながら歴史を考える そしてドローイングは動き始めた……」が開催された。2010年には京都賞を、2020年には世界文化賞も受賞している。

ウィリアム・ケントリッジ

 『魔笛』はモーツァルトにより「ジングシュピール(歌芝居)」として作曲された作品で、世界中で大人から子供まで広く親しまれてきた。同作をケントリッジは、ドローイングをふんだんに用いて演出。舞台のみならずプロジェクションとしてもオペラに取り入れられ、詩的な空間をつくりだしている。

新国立劇場『魔笛』2018年公演より 撮影=寺司正彦

 プロジェクションの映像は、木炭やパステルで描いたドローイングをわずかに描き直しては撮影することを1コマずつ繰り返しながらつくられた重層的なもの。さらにその映像をプロジェクションし、バロック劇場風の舞台に投影して展開させていく。

新国立劇場『魔笛』2018年公演より 撮影=寺司正彦

 また、作品には植民地主義やアパルトヘイトといった南アフリカの負の歴史も色濃く反映されており、描くことの積み重ねによってそれらが表現されているという。

新国立劇場『魔笛』2018年公演より 撮影=寺司正彦

 指揮は新国立劇場初となるオレグ・カエターニが、テノールを鈴木准、パミーナを砂川涼子、ソプラノを安井陽子が担当。また、ザラストロは河野鉄平が務める。

編集部

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