東京都が「東京文化戦略2030(案)」を公開。「TOKYO アート・ハブ」の構築など掲げる

東京都は2030年度までの都の文化行政の方向性・重点的に取り組む施策を示した「東京文化戦略2030(案)」を取りまとめた。現在、同案に対するパブリックコメントの募集が行われている。

東京都庁 Photo by Charles Postiaux on Unsplash

 東京都は2030年度までの都の文化行政の方向性・重点的に取り組む施策を示した「東京文化戦略2030(案)」を取りまとめた。3月4日まで、都民からのパブリックコメントを募っている。

 資料によると、「東京文化戦略2030(案)」とは「東京文化ビジョン」(2015~2025年) に代わる文化政策で、2022年度〜30年度までの長期計画。2040年代における東京のあるべき姿を描き、東京都の文化行政の方向性や重点的に取り組む施策を示したもの。22年3月の策定と公表を目指している。

 「東京文化戦略2030(案)」の主な方向性は以下の4つ。

  1. 都内各所で実施するまちなかアートやオンラインなど新たな手法を用いて、誰もがどこでも気軽に芸術文化を楽しめる取組を強化する。
  2. 新技術により都民自ら創造・発信するなど、コロナ禍で生まれた新たな楽しみ方を拡大する。
  3. 国内外のアートのハブとなる芸術文化の拠点を形成し、ネットワークを構築する。
  4. コロナ禍を踏まえ、アーティストや芸術文化団体等が継続的に活動できる仕組みを構築する。

 また、戦略としては以下の4つが掲げられている。

  1. 誰もが芸術文化に身近に触れられる環境を整え、人々の幸せに寄与する~人々のウェルビーイングの実現に貢献する~
  2. 芸術文化の力で、人々に喜び、感動、新たな価値の発見をもたらす~人々をインスパイアする~
  3. 国内外のアートシーンの中心として、世界を魅了する創造性を生み出す~芸術文化のハブ機能を強化する~
  4. アーティストや芸術文化団体等が継続的に活動できる仕組みをつくる~持続性のある芸術文化エコシステムを構築する~

 各戦略にはそれぞれ実行のための「推進プロジェクト」が設定されており、例えば戦略2の「芸術文化の力で、人々に喜び、感動、新たな価値の発見をもたらす」では、都の収蔵品デジタルデータの全面公開や3Dデータ・高精細画像公開、江戸博バーチャル・ミュージアム(仮称)の開設などを取り組みとして掲げている。

 また戦略3の「国内外のアートシーンの中心として、世界を魅了する創造性を生み出す」においては、芸術文化の交流発信拠点となる「TOKYO アート・ハブ」の構築や、東京都現代美術館と海外美術館とのネットワーク強化による海外での企画展の実施などが盛り込まれており、日本における芸術拠点としての東京のプレゼンスを向上させることを目指す。

 コロナ禍においては文化芸術従事者が経済的な影響を大きく受けたが、戦略4「アーティストや芸術文化団体等が継続的に活動できる仕組みをつくる」ではこうした反省を踏まえ、段階に応じた助成事業などを通じた育成支援やアーティストの活動状況やニーズをタイムリーに把握するための意見交換プラットフォームの構築、遊休施設等を創作場所としてアーティストに低廉な価格で貸与すること、などが案として記載された。

 戦略(案)の詳細とパブリックコメントの応募は東京都ウェブサイトを確認してほしい。

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