1989年5月に日本初の公立現代美術館として開館した広島市現代美術館が現在、開館以来初となる大規模改修工事を進めている。
黒川紀章が設計した同館は、巨大な円形の広場が特徴的な美術館。市内を見渡す比治山の丘陵、桜の名所として親しまれる緑豊かな公園に位置しており、長く市民に親しまれてきた。
しかしながら竣工から30年以上が経過し、漏水など経年劣化による不具合が発生。2020年12月から進められている今回の改修工事では、こうした経年劣化した部分の機能回復を計る。
また、展示機能の強化や、展示室内のエレベーター新設なども実施。エントランス横にガラス張りの多目的スペースとカフェを増築し、これまでカフェがあったスぺ―スにショップを移設、ショップのあった場所には授乳室や多目的トイレが新たに設けられるという。
比治山を訪れる人々の憩いの場となることを目的とした今回のリニューアル。休館中の同館では、「工事日記」としてInstagramを通じて改修工事の様子を積極的に配信しており、美術館が生まれ変わっていく姿を見ることができる。また、工事現場と化した美術館にアーティストグループ「ヒスロム」を招き、彼ら独自の方法による場との対話を人々に紹介する試み、ヒスロム「 現場サテライト」も進行中。ヒスロムをはじめ、休館中の活動に携わるアーティストらのインタビュー記事は順次「note」で公開されている。休館中も動き続ける同館の活動に注目だ。