1892年、岩﨑彌之助(1851〜1908、岩崎彌太郎の弟、三菱第二代社長)によって創設され、息子の岩﨑小彌太(1879〜1945、三菱第四代社長)によって拡充された「静嘉堂」。その創設130周年にあたる2022年、静嘉堂文庫美術館が三菱と縁の深い東京・丸の内の地で新たなスタートを切る。
彌之助・小彌太の父子二代によるコレクションは、1977年より世田谷区岡本で一般公開され、92年には同地で静嘉堂文庫美術館を開館。昨年、その移転が発表された際は大きな話題を呼んだ。
移転先となるのは、1934年に竣工され、いまなお重厚な存在感を放つ重要文化財「明治生命館」。美術館はこの1階に位置する。
展示室は特徴的なガラス天井の広場(ホワイエ)を囲むように4つ配置され、テーマごとに作品を紹介。移転工事・設計は明治生命館の新築工事を請負い、その後に2005年にも大規模な改修工事を手がけた竹中工務店が担う。展示室面積は世田谷の約1.5倍になるという。
新たな静嘉堂文庫美術館では、同館を象徴する《曜変天目(稲葉天目)》などの国宝7件をはじめ、重要文化財84件を含む、およそ20万冊の古典籍(漢籍12万冊・和書8万冊)と約6500件の東洋古美術品のなかから名品を選りすぐり、テーマ展の開催を予定している。
開館記念としては「静嘉堂創設130周年・新美術館開館記念 響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき(仮)」を12月18日まで開催。所蔵する全7件の国宝を展示するほか、茶道具、琳派、刀剣、中国書画と工芸などの各ジャンルから、静嘉堂を代表する名宝が並ぶ予定だ。
なお、同館の展示機能は丸の内に移転するが、美術品の保管管理・研究閲覧業務、並びに静嘉堂文庫(図書館)、敷地・庭園の管理業務は、これまで同様世田谷で継続される。