川崎市市民ミュージアム再建に関する「基本的な考え方」が発表。市民からの意見募集も開始

台風被害により休館、被災リスクの少ない場所での再建が検討されている川崎市市民ミュージアム。同館の今後について、8月30日に川崎市より「新たな博物館、美術館に関する基本的な考え方(案)」が発表され、再建に向けた市民からの意見募集も開始された。

被災前の川崎市市民ミュージアム

 2019年10月に発生した「令和元年東日本台風」によって9つの収蔵庫が浸水、現在も休館が続いている川崎市市民ミュージアム。現在の施設での継続は困難とされており、被災リスクの少ない場所での再建を行うことが検討されてきた。

 新たな施設については「市民ミュージアムあり方検討部会」が設置され、検討が重ねられてきた。これまでに7回の部会を経たのち、8月30日に市民ミュージアムの「新たな博物館、美術館に関する基本的な考え方(案)」が発表された。

 同案は、新たな博物館・美術館の役割とその方向性を次の3つにまとめている。

 1つめは「川崎の歴史と文化を未来へつなぐ」として、川崎の歴史と文化を記録して過去をあますことなく振り返るとともに、未来へと継承していくことを目指す方針が示された。同時に、令和元年東日本台風による被災の事実を継承することも付記されている。

 2つめが「文化芸術的な視点からの人材育成と学びの機会の提供」。文化芸術を楽しみ体験できる場を創出するとともに、文化芸術が有する多様性の魅力を広く伝えていくことが目指される。さらに、年齢や性別、国籍、障害の有無等に関わらず、誰もが川崎市の歴史や多様な文化への理解を深められるよう、生涯を通じて学びの機会を提供を望むとした。

 3つめが「文化芸術を活用したまちづくり」だ。芸術家の育成や文化芸術活動の支援を行うことにより、市域の文化芸術活動の活性化を図るとともに、文化芸術の裾野を拡大。また、市民や団体、他の文化施設と連携・協働し、地域に開かれた活動による豊かなコミュニティを形成するとともに、地域的・社会的課題に向き合い、多様性や社会的包摂への理解が進んだ地域社会の実現を目指す。

 この3つの方向性に基づき、2022年度中を目安に「基本構想」を策定し事業構想の方向性を検討。その後「基本方針」を策定する。

 今回発表された「新たな博物館、美術館に関する基本的な考え方(案)」について、川崎市は9月1日〜9月30日まで市民の意見を募集している。FAX、郵送、持参、メールフォームなどから、所定の意見書フォーマットによる提出を受けつけている。詳細は川崎市のウェブサイトを参照してほしい。

Exhibition Ranking