愛知・美浜町の美浜緑苑内にある杉本美術館が10月31日をもって閉館することを発表した。
同館を運営する名古屋鉄道によると、来館者はかねてより減少傾向にあったが、新型コロナウイルスの影響によりさらに運営が苦しくなり、今年に入って閉館を決めたという。なお、同館のコレクションはすべて財団法人杉本美術館が所有しており、今後の活用については検討中とのことだ。
杉本美術館は、岸田劉生の門下として洋画を学んだ画家でポスターや挿絵の制作も広く手がけた杉本健吉(1905〜2004)の、初期から現在までの作品すべてを収蔵している。生前の杉本より作品寄贈を受け、1987年に名古屋鉄道が財団法人杉本美術館を設立して開館。1994年には名鉄創業100年記念事業として新館も開館させた。
杉本美術館の本館では《新・平家絵物語屏風》や《聖徳太子絵伝》の画稿といった屏風や軸装作品を展示。新館には《両界曼陀羅》や《空海像》を展示するために特別に設計された部屋が用意されている。また本格的な茶室としても使用できる和室「杉庵」も有する。
同館は現在、企画展「芸~舞・奏~」を9月16日まで開催しており、その後、最後の企画展を開催する予定。内容の詳細は検討中だが、杉本の生涯の活動を展観できるものになるという。