4月25日に4都府県で始まった3度目の緊急事態宣言は、いまや10都道府県にまで拡大。感染者数については減少傾向ではあるものの、依然として厳しい状況が続いている。
そんななか、読売新聞オンラインは沖縄県(6月20日が期限)を除く9都道府県について、政府が今月末まで宣言を延長する方向で調整に入ったことを報じた。
懸念されるのは、いまも臨時休館が続く美術館・博物館の対応だ。当初、5月11日までとされていた今回の宣言では、国と都でミュージアムをめぐる対応が分かれた。国立施設は再開、都立施設は休館継続という別々の動きを見せ、大きな混乱を招いたことは記憶に新しい。11日には国が折れるかたちで都内の国立施設はすべて休館継続となり、私立美術館も多くが休館を続けてる。
いっぽうで劇場や百貨店では営業を再開するケースも見られ、ミュージアムの休館継続には多くの疑問が残ったままだ。今回の宣言ではこれ以上の延長がなくとも、休館期間は1ヶ月を超えることになる。多くの施設にとってかきいれ時だった大型連休も休館によって逃したミュージアムにとって、これ以上の休館継続は経営的に大きなダメージとなることは間違いない。
ミュージアムはコロナ禍で事前予約制の導入や来館者のアルコール消毒、検温などの対策を進めてきた。いま都内で営業を続ける私立美術館には、1時間あたりの予約受付数を少数に制限する施設もあり、人流を抑制しつつ開館することは可能だ。また、そもそもミュージアムは作品や資料を維持するために、温湿度を一定に保つ強力な空調装置を24時間稼働させている。
文化庁の都倉長官は11日に発したメッセージのなかで「文化芸術活動の休止を求めることは、あらゆる手段を尽くした上での最終的な手段であるべき」「文化芸術活動は、断じて不要でもなければ不急でもありません。(中略)社会全体の健康や幸福を維持し、私たちが生きていく上で、必要不可欠なものである」と明言している。こうした文化庁の姿勢を自治体と共有し、ミュージアムは本当に休館すべきかどうかが議論される必要がある。