三菱商事株式会社が2008 年より社会貢献活動の一環として取り組んできた「三菱商事アート・ゲート・プログラム」。今年5月、同プログラムはアーティストの異なる3つのキャリアステージに合わせ、資金援助だけでなく学びの機会やメンタリングを取り入れるなど、約2年にわたって積極的にアーティストの成長や制作活動の発展をサポートするプログラムへと生まれ変わった。
アート団体「アーツ イニシアティヴ トウキョウ」(AIT)と連携する同プログラムは、5月13日より申請受付がスタート。スカラシップ(Scholarship=学生支援)、ブレイクスルー(Breakthrough=躍進)、アクティベーション(Activation=活性化)の3部構成となり、それぞれ20名、6名(組)、3名(組)を募集し、学生からミッドキャリアまでのアーティストをサポートしていく。
単年度に実施するスカラシップは、大学や専門学校の芸術文化分野で学び、未来にアーティストとして自立した活動を希望しながらも、経済的な理由で困難を強いられている学生を対象に、1名につき給付型奨学金(返済不要)50万円を付与する。
ブレイクスルーは、おもに平面作品を制作する概ね5年以内のアーティストを対象に、活動の基盤づくりを約2年にわたってサポートし、客観的な視点での作品批評の機会を提供。1名(組)につき150万円の支援金に加え、展覧会に向けたレクチャーやディスカッション、メンターによるアドバイスなどのラーニングや、2年間の成果発表の場としての展覧会の機会を与える。
メンター(選考委員)を務めるのは、長谷川新(インディペンデント・キュレーター)、桝田倫広(東京国立近代美術館 主任研究員)、水田紗弥子(キュレーター/Little Barrel)で、ファシリテーターは堀内奈穂子(AITキュレーター)。若手アーティストがメンターに学び、展覧会=実践を通して知見を広め、作品やコンセプトづくりの次なる展開を目指す。
そしてアクティベーションは、メディアを問わず領域横断的に活動する、概ね45歳までのアーティストを対象に、制作に必要となるリサーチから実践までを約2年にわたってサポートする。1名(組)につき400万円の支援金と、リサーチや活動に関するアドバイスなどのメンタリングを提供する。
このセクターのメンター(選考委員)は、蔵屋美香(横浜美術館 館長)、グローバー(ミュージシャン)、毛利嘉孝(東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授)で、ファシリテーターは塩見有子(AIT ディレクター)が務める。アーティストのニーズにあわせた柔軟な支援を通じ、活動領域や思考を活性化して国際的に発信することを目指す。
エントリーは6月8日まで。7月〜8月には一次選考と最終選考が行われ、採択者が選出。9月からは支援が開始し、ブレイクスルーとアクティベーションに向けた採択者決定イベントなどが開催される。詳細はウェブサイトを参照。