公益財団法人日本博物館協会は、「博物館における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」を発表した。
これは、政府による「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(5月4日改訂)を踏まえ、博物館における新型コロナウイルス感染拡大予防対策として実施すべき基本的事項を整理したもの。
「3密」を避けることや、従事者や来館者の動線や接触等を考慮したリスク評価を行うことを示したうえで、「展覧会(常設展示・屋外での展示を含む。)の実施に際して講ずるべき具体的な対策」を次のように規定した。
「総論」では、対人距離をできるだけ2メートルを目安に確保することを前提とし、入館制限な必要な場合は、「入館可能時間や入館可能な人数の制限」「大人数での来館の制限」「日時指定予約や時間制来館者システムの導入」「招待制の導入」などを検討することとしている。
またこのガイドラインでは、施設内で感染を疑われるケースが発生した場合も想定。感染者の発生等にともない、保健所の指導による展示室等の消毒が行われる場合、「露出展示されている展示物や展示ケースへの悪影響に備え、予め、展示物や展示ケー スと来館者の距離を長めに設定し、導線を検討する必要がある」とされている。
「展覧会の実施に当たって特に留意すべきこと」としては、
・フロアマーカー等の設置等の工夫を行い、来館者同士の距離を確保すること(最低1メートル、できるだけ2メートルを目安に)。
・直接手で触れることができる展示物は感染リスクが高いので展示しないことを原則とし、止むを得ない場合は職員が管理して消毒を徹底すること。
・屋外展示の場合は、鑑賞者が作品に直接手で触れることのないよう注意喚起や鑑賞方法 の工夫を行うこと
・展示室(屋外展示の場合は展示エリア)ごとの人数制限や自動音声による注意喚起など、特定の展示作品の前に大勢の人数が滞留しないための措置を講ずること。
・展示室内(屋外展示の場合は展示エリア)における会話制限を行うこと
などを挙げている。
なお、このガイドラインの内容は、今後の対処方針の変更のほか、新型コロナウイルスの感染の動向や専門家の知見等を踏まえ、必要に応じて適宜改訂を行われるという。
こうしたガイドラインに準じるものとしては、国際博物館会議(ICOM)や国際美術館会議(CIMAM)がそれぞれ、美術館の再開にあたって注意すべき項目を公開している。