2019年10月の台風19号(令和元年東日本台風)の被害により、9つの収蔵庫への浸水と、収蔵品の被害を受けた川崎市市民ミュージアム。昨年10月よりレスキュー作業が開始され、収蔵庫から運び出だされた収蔵品に、順次応急処置や修復作業が実施されている。
川崎市によると、20年4月3日時点で、約22万9000点の収蔵品のうち72パーセントにあたる16万5000点を出庫。県指定の重要文化財《鰐口(春日神社)》(1403)や、市の重要歴史記念物《紙本墨画淡彩 仙女図》(16世紀)などはすでに修復を完了しており、他にも複数の歴史文化財や重要郷土資料が応急処置を施されている。
応急処置前の運び出された文化財についても、市民ミュージアム前に設置された冷蔵・冷凍コンテナにて保管し、腐食の進行を防止。また、虫菌を防ぐための燻蒸も順次施されている。
レスキュー作業は、独立行政法人国立文化財機構をはじめとする文化遺産防災ネットワーク推進会議の10団体のほか、神奈川県博物館協会、日本大学芸術学部写真学科、東京大学史料編纂所 、東洋美術学校がこれまでに支援に当たってきた。
4月3日時点での救出スケジュールによれば、作業完了は21年度以降を予定。4月20日時点での救出作業は継続しているが、今後は活動を自粛する可能性もあり、具体的なスケジュールの見通しが立たない状況が続く。