アメリカ・ロサンゼルスでJ・ポール・ゲティ美術館やゲティ研究所、ゲティ保存修復研究所などを運営しているゲティ財団が、新型コロナウイルス危機に直面しているロサンゼルスの非営利の博物館や視覚芸術団体を支援するために、1000万ドル(約10億8000万円)の救済基金を創設することを発表した。
ロサンゼルスにある慈善団体「California Community Foundation」(CCF)によって管理されるこの基金は、地元の中小規模の組織に対し、緊急運営支援と復興助成金を提供。またゲティ財団は、ほかの団体や個人による同基金への寄付も呼びかけている。
財団の会長であるジェームズ・クーノは、「過去20年間で、ロサンゼルスは世界でもっとも活気があり、多様で重要な視覚芸術の中心地となった。我々は、この地域が世界的なアートリーダーであり続けられるようにしたい」とし、「この時期、COVID-19(新型コロナウイルス)のパンデミックとそれに関連する経済的影響に苦慮している多くの組織を支援する責任感に感じている」とコメントしている。
CCFでは、様々な団体による1700以上の基金の分配も管理している。今回は、ロサンゼルス地域の芸術団体に2万5000ドル〜20万ドルの助成金を提供する予定。救済基金への個人寄付を行うためのオンラインポータルなど、助成金のガイドラインに関する詳細は、数日中にCCFとゲティ財団のウェブサイトで公開される予定だ。
CCFの会長であるアントニア・ヘルナンデスは、「ロサンゼルスは世界的なアートの中心地であり、アーティストや芸術団体を誇りを持って支援し評価している。私たちはゲティと協力し、アートコミュニティが直面している前例のない課題を支援できることを誇りに思っている」と述べている。
現在、地元の芸術団体にとっての最優先事項は短期の緊急資金で、続いてパンデミックによって引き起こされた混乱のなかでの復興活動を支援するための長期的な移行計画だという。
この状況について、ゲティ財団の運営プログラムとゲティ基金の責任者、ジョーン・ワインスタインはこう語っている。「これは芸術団体、とくに運転資金がほとんどなく、寄付金もない中小の芸術団体にとって危機的な時期だ。芸術団体からは、数週間のうちにスタッフを解雇せざるを得なくなるという話を毎日のように聞かされている。これらの団体は、すべてのロサンゼルスの住民に芸術への重要なアクセスを提供しており、コミュニティのすべての人から支援を受けるべきだ」。