アメリカ有数の科学、産業、技術、芸術、自然史の博物館群・教育研究機関複合体である「スミソニアン博物館」が、同館の約280万点のデジタルコレクション画像や約2世紀分のデータを自由にアクセスできるという新しいプログラム「Smithsonian Open Access」を発表した。
同館の運営主体であるスミソニアン学術協会は、国立アメリカ歴史博物館や国立自然史博物館、国立肖像画美術館など博物館や研究センターなどを運営しており、そのコレクションは1億4200万点にも及ぶという。
今回のプログラムは、世界中の博物館や文化施設のなかで最大規模のオープンアクセスプログラム。これまで同協会は、470万点以上のコレクション画像を個人、非営利、教育目的でオンライン利用できるようにしてきたが、現在はスミソニアンの許可なしに、あらゆる目的で同プログラムを通して画像やデータを自由にダウンロード、変換、共有できるようになった。また、同館は継続的にアイテムを追加し、今年末までに300万以上の画像へのフリーアクセスを目指している。
同協会のロニー・G・バンチIII書記官は、「オープン・アクセスは、スミソニアンがオーディエンスにリーチし、教育し、鼓舞するための取り組みにおいて画期的な出来事」とし、「このイニシアティブを通じ、世界中の人々が当協会のコレクションを創造的な新しい方法で再考し、再利用できるよう支援していく」とコメント。
オープン・アクセスのコンテンツには、同協会傘下の博物館19館、研究センター9館、図書館、アーカイブ館、国立動物園のコレクションより、アメリカの歴史的人物の肖像画から恐竜の骨格の3Dスキャンまで、芸術、科学、歴史、文化、技術、デザインなど多岐にわたるコンテンツが含まれている。ユーザーは、これらの2D・3D高解像度画像や研究データ、メタデータを一括してアクセスやダウンロードができる。
スミソニアンのデジタル・プログラム上級責任者であり、同プログラムの実施を手かげたエフィ・カプサリスは、「私たちは、世界中の人々が、ほぼ2世紀にわたる学際的な研究であるこのデータセットを、今日の課題を理解し解決するためにどのように利用するかに期待している」とコメントしている。
なお同プログラムは、クリエイティブコモンズ、Google Arts & Culture、Wikipedia、およびその他のデジタルプラットフォームを通じてコンテンツを利用可能にし、コレクションへのアクセスをさらに高めている。