宇宙が身近になる未来、アートはどう変わる? 『美術手帖』10月号は「アーティストのための宇宙論」特集
『美術手帖』10月号は「アーティストのための宇宙論」特集。いつの時代も科学にとどまらず幅広い思想や文化に接続されてきた「宇宙」と、アートの関わりを考える1冊となっている。
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9月6日発売の 『美術手帖』2019年10月号は、「アーティストのための宇宙論」を特集する。
2019年はアポロ11号の月面着陸から50周年。本特集では宇宙をテーマとした作品にとどまらず、宇宙とアートの関わりや、そこに通底する問題意識を様々な角度から探り、未来の表現について考える。
PART1ではアートと宇宙の現在や今後の展望を考察。巻頭座談会には、宇宙人とのコミュニケーションをテーマとした著書が話題となった人類学者の木村大治、「芸術のための衛星」の打ち上げに成功したアーティスト・研究者の久保田晃弘、JAXAに所属する宇宙放射線研究者の永松愛子が登場し、宇宙人をどう考えるか、宇宙開発がもたらすイメージの力など、宇宙×アートの交点にある幅広い問題意識を探っている。
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アーティストグループの「目[mé]」は「宇宙で展示をするなら?」というテーマで、地球とは異なる環境での作品プランを考案。地球外における生命存在可能性について研究する関根康人がアドバイザーとなり、「地球の自転を止めることはできるか」「流星をつくることはできるか」といったアイデアをめぐって対話する。
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また、表紙イラストを担当するアーティスト・イラストレーターの寺本愛が、近未来の日本を舞台に、宇宙ベンチャーで働くアーティストが主人公のSFマンガを描き下ろし。加えて、宇宙開発と天文学の入門的な知識を図解やキーワードで学ぶ「アーティストのための宇宙入門」や、実際に宇宙空間に作品を打ち上げたり、宇宙へ行くことを目指すアーティストたちの実践を紹介する企画も掲載される。
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PART2では、アートにとどまらずデザインやカルチャーまで、宇宙と表現について考える様々な視点を紹介。世界を代表する宇宙科学研究機関のCERN(スイス)とNASA JPL(アメリカ)におけるアートとの協働についてレポートするほか、現代思想界で再注目されるロシア宇宙主義の歴史と現代的な意義を鴻野わか菜が、SFにおける「宇宙人」の表象の変遷を藤田直哉が分析。京都市立芸術大学に所属する天文学者・宇宙物理学者の磯部洋明は、アートとサイエンスの協働について考える論考を寄せた。
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今年に入り、史上初めてブラックホールの撮影が成功したり、JAXAの探査機・はやぶさ2が小惑星リュウグウに着陸、小惑星の接近が報じられたりと、宇宙科学にまつわる発見やニュースが相次いだ。宇宙がますます身近なものになり、私たちの認識や身体感覚も変容させていく時代のアートのあり方を、多角的に考える特集となっている。
第2特集は「金氏徹平 S.F.」。「KYOTOGRAPHIE 2019」で発表された《S.F.(Splash Factory)》を誌面展開したスペシャルページを制作した。そのほかに、沢山遼によるロバート・モリス論や、大山エンリコイサムのロングインタビューも掲載。