2019.8.28

京都造形芸術大学は「京都芸術大学」に? 京都市立芸術大学と京都市は異議示す

京都造形芸術大学が、2020年4月1日をもって大学名を「京都芸術大学」に変更することを発表。これに対し、京都市立芸術大学と京都市が再考を求めている。

京都造形芸術大学人間館 出典=ウィキメディア・コモンズ

 京都市・左京区の京都造形芸術大学が、2020年4月1日の大学開学30周年を記念し、今後の活動展開のためのグランドデザインを発表。その策定に伴い、同日付で大学名を「京都芸術大学」に変更することを明らかにした。また名称変更に関しては、同大学ウェブサイト上で、以下のような注意書きを記している。

※その略称としては、「瓜芸(うりげい)」「KUA(ケーユーエー)」を使用し、「京芸」「京都芸大」は使用いたしません。 ※なお、申し上げるまでもなく、本学は、公立大学法人「京都市立芸術大学」とは異なる大学です。

 しかし本件を受け8月28日、京都市立芸術大学の理事長、赤松玉女が同大学ウェブサイト上でコメントを発表。そこでは、名称変更が大きな混乱を招くという危惧と、「そのような事態にならないよう,京都造形芸術大学に対しては名称変更を中止再考されるようお願いしてまいりましたが、その願いを聞き届けていただけなかったことは誠に残念です」として、今後も協議を続け、場合によっては法的措置も辞さない姿勢を見せている(全文は本文末に掲載)。

 このことについて京都市立芸術大学の担当者は次のように話す。「まず、京都造形芸術大学から京都市に名称変更の連絡があったのが7月9日。市を通じて名称変更の予定を知りました」。その後7月12日に、京都造形芸術大学学長の尾池和夫が京都市立芸術大学に来校し、名称変更の旨は口頭で伝えられたという。そして、両大学は名称変更についての話し合いを書面で継続。京都市立芸術大学は名称変更について異論を唱えたが、京都造形芸術大学からは「混同する恐れはない」といった旨が書かれた回答書が送られてきたという。

 いっぽう京都市長の門川大作は8月28日、市のウェブサイトでコメントを発表。「京都造形芸術大学の名称を『京都芸術大学』に変更されると聞き、驚愕しています。大学が新たに名称を変更される場合は、既存の大学と混同しないよう、明確に識別できるようにすべきであります。京都造形芸術大学におかれては、いま一度新しい名称を再考され、両大学が共に伝統と文化を継承し、発展していくことを望みます」として、名称変更に異議を示している。

京都造形芸術大学が「京都芸術大学」に名称変更されることについて、当該名称は本学の名称や一般に通用している略称と同一あるいは酷似しているため、受験生や本学の学生・卒業生をはじめ、市民の皆様や芸術を愛する幅広い人々に大きな混乱を招くと大変危惧しております。 そのような事態にならないよう、京都造形芸術大学に対しては名称変更を中止再考されるようお願いしてまいりましたが、その願いを聞き届けていただけなかったことは誠に残念です。 本学は、京都にある芸術大学として「京芸」「京都芸大」の名称で親しんでいただいており、大学の名称・略称は、市民の皆様に育んでいただいた大切な財産であり、誇りです。 その大切な財産を守るため、また、多くの関係者の皆様に無用の混乱を招くことのないよう、引き続き、京都造形芸術大学との協議を続けてまいりますが、当事者間では解決の方向性を見出し難いと判断した場合は、法的措置も含めた適切な対応をとってまいります。 公立大学法人京都市立芸術大学 理事長 赤松玉女