2019.1.29

「あぁ、見えてない。それがどうした?」。全盲の映画監督を追うドキュメンタリー映画『ナイトクルージング』が3月公開

生まれながらの全盲者の映画制作を追うドキュメンタリー『ナイトクルージング』が、3月30日よりアップリンク渋谷ほか全国順次公開される。本作の監督を務めるのは、マジョリティとマイノリティの境界線に焦点を当てた作品を多く手がけてきた佐々木誠。

加藤秀幸
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 視覚がなく、光すら感じたことのない全盲の加藤秀幸は、ある日映画をつくることを決める。そんな加藤による映画制作を追ったドキュメンタリー映画『ナイトクルージング』が、3月30日よりアップリンク渋谷ほか全国順次公開される。

 このドキュメンタリーでは、映画制作における様々な過程を通して、顔・表情や色の実体、2Dで表現することなど、視覚から見た世界を知っていく加藤の姿が映される。また、加藤とともに制作するスタッフも、加藤を通して視覚のない世界を垣間見る。

『ナイトクルージング』より

 それぞれが互いの頭の中にある「イメージ」を想像しながら、映画をつくっていく加藤とスタッフ。加藤の監督する短編映画は、近未来の宇宙の小惑星を舞台にした、生まれながらに全盲の男と見える相棒が「ゴースト」と呼ばれる存在を追うSFアクション映画だ。

 本作の監督は、本映画の前作である『インナーヴィジョン』『マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画』などマジョリティとマイノリティの境界線に焦点を当てた作品を多く手がけてきた佐々木誠。プロデューサーに、 障害を「世界をオルタナティブにとらえ直す視点」として、「音で観るダンスのワークインプログレス」などのプロジェクトを企画してきた田中みゆき。

『ナイトクルージング』より

 また、加藤が監督する映画『ゴースト・ヴィジョン』には、『シン・ゴジラ』『バイオハザード』シリーズのプリビズやCGの制作チーム、『ファイナルファンタジーXV』の開発チーム、現代美術家の金氏徹平など、幅広い分野のクリエイターが協力しているほか、山寺宏一、石丸博也ら声優陣、作家のロバート・ハリスもキャストとして参加。前代未聞の映画制作をめぐる「冒険ドキュメンタリー」になっている。