ジェフ・クーンズ、パリ同時多発
テロ犠牲者をチューリップで追悼

アメリカの現代美術家、ジェフ・クーンズは2015年11月13日にパリで発生した同時多発テロの犠牲者を追悼するため、高さ約12メートルにおよぶ巨大作品を制作、パリ市に寄贈することを明らかにした。作品名は《チューリップのブーケ》(Bouquet of Tulips)。

ジェフ・クーンズ チューリップのブーケ © Jeff Koons Courtesy of Normontartproduction

 同作はブロンズ、ステンレス、アルミニウムなどによって構成され、高さは約12メートル、重さは土台部分を含めると約33トンにおよぶ巨大なモニュメント。チューリップの花の部分は、ジェフ・クーンズの特徴であるバルーン状の形態となっている。

 クーンズとジェーン・D・ハートリー駐仏米大使の間で発案されたこの作品について、クーンズは「この作品は1年前に起こった悲惨な出来事への追悼のシンボル。トーチを持った「自由の女神」の右手を参考にしている。米仏の人々の友好を示したい。花は楽観主義や再生、自然の生命力、そして生命のサイクルといったものを連想させる。前へと進む命のシンボルだ」と同作への思いをコメント。パリ市のアンヌ・イダルゴ市長も「喜んで歓迎する。アメリカにおける「自由の女神」同様、パリ市のヘリテージ(遺産)となるだろう」としている。

《チューリップのブーケ》は現在、ドイツで制作が進められており、最終的な承認を経たのち、2017年にパレ・ド・トーキョーとパリ市立近代美術館の間の広場に設置される予定だという。総工費は約300万ユーロ(約3.5億円)で、現在アメリカとフランスで寄付を募っている。

 1886年に、フランスからアメリカに贈られた「自由の女神」が完成してから130年。アメリカからフランスに贈られることになる同作は、パリ市民にどのように受け入れられていくだろうか。

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