1979年11月、近現代美術と古美術を常設する美術館として開館した福岡市美術館が、2年以上の改修休館を経て、2019年3月にリニューアルオープンを迎える。
同館は、ル・コルビュジエに師事した近代建築の巨匠・前川國男が手がけたものであり、今回の改修では、その建築意匠を守りつつ、より開かれた施設を目指し、大濠公園の西側園路に大きく開けた公園前アプローチを新設。入口近くには大濠公園を一望できるカフェを新設し、夜間は建物のライトアップも行われる。
また、展示スペースも生まれ変わった。コレクション展示室(古美術)では、照明のLED化に加え、透過性の高い展示ケースを採用。壁面、床面、天井が刷新されている。
コレクション展示室(近現代美術)では、同館の豊富なコレク ションを展示する機会を増やすため、既存の「特別展示室B」を廃止し、コレクションの展示スペースを拡張。
特別展示室の出口正面にコレクション展示室(「近現代美術室A」) の入口を設け、特別企画展の鑑賞者をコレクション展へと導く導線を確保している。この展示室の新設によって、近現代美術のコレクション展はABCの3タイプ(すべて照明はLED化、透過性の高い展示ケースを採用、壁面・床面・天井を刷新)となり、それぞれ異なる仕様とすることで、多種多様な作品に対応する。
また、「特別企画展」を開催する特別展示室も照明、壁面、床面、天井が刷新されたほか、可動壁の増設も行われた。
このほか、ミュージアムホールやレクチャールームなど、館内の様々な施設がリニューアル。1階にはカフェ、ミュージアムショップが新設され、2階のレストランや、キッズスペース、情報コーナーも新しくなるほか、建築当時の美術館の模型や、開館時から使用していた椅子などを配置する「前川國男メモリアルスペース」が新設される。
なお、同館のリニューアル記念展は、約1万6000点のコレクションのなかから、ダリ、ミロ、ウォーホルなど、代表的な作品を一堂に紹介する「これがわたしたちのコレクション」展を開催。これは1979年の開館以来、最大規模のコレクション展示となるという。
加えて、イギリスのアーティスト、インカ・ショニバレCBEの日本初個展「インカ・ショニバレCBE: Flower Power」も同時開催。福岡市美術館のリニューアルオープンを記念し、桜をモチーフとした新作を世界初公開するという。
前川建築の意匠を引き継ぎながら、現代的な空間へと生まれ変わる福岡市美術館。この機会に訪れてほしい。