ロザリンド・クラウスの名著『独身者たち』、待望の訳書が刊行。女性とアヴァンギャルドの関係を定位する

著作『オリジナリティと反復』や、美術批評誌『オクトーバー』の編集などで知られるアメリカの批評家ロザリンド・クラウスの著作『独身者たち』(原題 "Bachelors", 1999)の日本語訳が刊行される。

ロザリンド・クラウス著、井上康彦訳『独身者たち』(平凡社、2018)書影

 ロザリンド・クラウスは1941年生まれのポストモダニズムの美術批評家、コロンビア大学教授。ハーバード大学にて師事したクレメント・グリーンバーグの影響を受け、フォーマリズム批評からキャリアをスタートするが、やがて独自の批評理論を提唱する。 

 そんなクラウスによる著書『独身者たち』(原著:Bachelors, Cambridge, Massachusetts: MIT Press, 1999)の日本語訳が平凡社より刊行される。

 本書はクロード・カーアンやドラ・マールといったシュルレアリスム運動に関わった人物をはじめ、シンディ・シャーマンなど9人の写真家を取り上げ、女性とアヴァンギャルド、なかでもシュルレアリスムとの関係について論じるという内容だ。

 翻訳を務めたのはメキシコのエル・コレヒオ・デ・メヒコ アジア・アフリカ研究センター客員研究員の井上康彦。井上は表象文化論学会ニューズ・レター『Repre』12号(2013)にて本書の翻訳について寄稿しており、それから5年の期間を経ての刊行となった。

 クラウスの著作『オリジナリティと反復』(1994、リブロポート)など、これまで発行された日本語訳の著作はいずれも必読書とされながらも絶版が続いている。そのなかで刊行される本書は、クラウスの批評にふれられる重要な一冊となるだろう。

編集部

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