奈良時代に創建された東大寺は、その長きにわたる歴史の中で2度、災禍による大仏(盧舎那大仏)や伽藍の焼失を経験している。しかしその度に、重源上人や公慶上人を中心に、民衆の力によって復興を成し遂げてきた。
そんな2度の復興の歴史を持つ東大寺と、東日本大震災からの復興に取り組む東北を結ぶ展覧会、東日本大震災復興祈念特別展「東大寺と東北―復興を支えた人々の祈り」が、来年4月から東北歴史博物館(宮城県多賀城市)で開催される。
東北の復興を祈念するため、多賀城市と友好都市関係にある奈良市の東大寺の協力により実現することとなった本展。大仏造営に陸奥国小田郡(現在の宮城県)で産出した金が用いられていることなど、創建当時からの東大寺と東北とのつながりにも焦点を当てて展示が構成される。
東大寺の寺宝が東北で大規模に集まるのは初めてのこと。東大寺の復興を語るうえで欠かせない《重源上人坐像》や、大仏造立の雛形とも見立てられる《弥勒仏坐像》をはじめとする国宝17点、東大寺復興時の造仏を一手に引き受けた快慶作の《地蔵菩薩立像》などの重要文化財25点、さらに東北地方に残されてきた数々の史料も合わせた計約150点が展示される。