16世紀後半から、神聖ローマ帝国皇帝としてプラハに宮廷を構えたルドルフ2世(1552〜1612)。膨大な美術品のコレクションで知られるハプスブルク家のなかでも、稀代の収集家として、また芸術の庇護者として知られている。
ルドルフ2世の宮廷には世界各地の優れた芸術家や科学者が集結し、芸術作品や科学機器などの創作物、さらには新たに発見された珍奇な自然物などが集められ、「驚異の部屋」と呼ばれる文化の一大拠点が築かれた。
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本展では、ルドルフ2世が愛好した芸術家の作品や工芸品、天文学や錬金術に関する貴重な道具や資料、イッカクの牙や鉱物といった自然物など、約120点を展示。芸術と科学、そして魔術的なものが融合した、まさに「驚異の部屋」を再現するような展覧会となる。
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絵画作品では、「寄せ絵」で知られるジュゼッペ・アルチンボルドをはじめ、独特の妖艶さをたたえる神話画を描いたハンス・フォン・アーヘン、ルドルフ2世が集めた生きた動物たちを描いたルーラント・サーフェリーなど、多彩な宮廷画家たちの作品を見ることができる。
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また、特別出品として、現代美術作家フィリップ・ハースが、アルチンボルドの作品をファイバーグラスなどの素材で立体化した「四季」シリーズのうち、《春(アルチンボルド作に基づく)》(2010)も展示される。
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なお、本展は現在、福岡市美術館(福岡県)にて開催中(12月24日まで)。東京での開催の後は、佐川美術館(滋賀県)への巡回が予定されている(2018年3月21日〜5月27日)。