江戸時代の京都で花開いた華やかなやきもの文化。この発展を担ったのが、「京焼の祖」とも言われる野々村仁清(生没年不詳)と、仁清から作陶を学んだ尾形乾山(1663〜1743)だ。
仁清は鮮やかな色絵陶器を完成させた人物とされるほか、ろくろや彫塑の技にも優れ、その華やかで端正なやきものは公家や大名家によって重用された。いっぽう乾山は、仁清に続いて京焼を発展させ、実兄である絵師・尾形光琳と合作で絵皿を制作するなど、絵画とやきものの融合という新しい道を切り開いた。
本展では、岡田美術館が収蔵する仁清と乾山の全作品を一挙に展示。仁清の制作年月が判明している稀少な作品である《色絵輪宝羯磨文香炉》(1657)や、乾山が最盛期に制作した秋の情景を凝縮したような作品《色絵竜田川文透彫反鉢》(江戸時代)など、重要文化財を含む貴重な作品が一堂に揃う。
また、仁清が作品を献上した後水尾天皇などにまつわる皇室ゆかりの作品や、乾山の兄・尾形光琳をはじめとする琳派の絵師の作品も併せて展示される。紅葉の見頃を迎える美術館の庭園とあわせて、京の都の典雅な世界を楽しんでみてはいかがだろうか。