2017.8.1

喜多川歌麿の最高傑作「雪月花」。《吉原の花》来日で《深川の雪》と日本で138年ぶりの夢の再会

江戸時代の絵師・喜多川歌麿の最高傑作とも言われる肉筆画の大作「雪月花」三部作のうち、《吉原の花》がアメリカより来日。箱根の岡田美術館で、同館収蔵の《深川の雪》とあわせて展示されている。

喜多川歌麿 吉原の花 江戸時代 寛政3-4年(1791-92)頃 ワズワース・アセーニアム美術館蔵
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 「雪月花」三部作は、美人画で知られる江戸時代の絵師・喜多川歌麿によって描かれた肉筆画の大作で、《深川の雪》《品川の月》《吉原の花》の3点からなる。それぞれ大きさは異なるが、大きいものでは横幅約3.4メートルにもおよぶ大画面に、華やかな江戸の遊郭や料亭の様子が綿密に描き込まれており、歌麿の最高傑作とも言われる。

 この三部作が揃って展示されたのは、記録に残る限りでは1879年(明治12年)の1回のみ。その後、三部作は美術商の手により日本からパリへ渡り、《深川の雪》だけが1939年に日本へ帰国。さらに長年の行方不明を経て2012年に再発見され、岡田美術館の収蔵となった。《品川の月》と《吉原の花》は、ともにアメリカにあるフリーア美術館とワズワース・アセーニアム美術館にそれぞれ収蔵されている。

 本展では、《吉原の花》をアメリカから迎え、岡田美術館が収蔵する《深川の雪》とともに展示する。日本でこの2作品が同時に展示されるのは、実に138年ぶりとなる。所蔵するフリーア美術館の創設者の遺言により門外不出となっている《品川の月》も、原寸大の高精細複製画を制作して展示。三部作を同時に見ることができる貴重な機会となる。

喜多川歌麿 深川の雪(部分) 江戸時代 享和2-文化3年(1802-06)頃 岡田美術館蔵