「雪月花」三部作は、美人画で知られる江戸時代の絵師・喜多川歌麿によって描かれた肉筆画の大作で、《深川の雪》《品川の月》《吉原の花》の3点からなる。それぞれ大きさは異なるが、大きいものでは横幅約3.4メートルにもおよぶ大画面に、華やかな江戸の遊郭や料亭の様子が綿密に描き込まれており、歌麿の最高傑作とも言われる。
この三部作が揃って展示されたのは、記録に残る限りでは1879年(明治12年)の1回のみ。その後、三部作は美術商の手により日本からパリへ渡り、《深川の雪》だけが1939年に日本へ帰国。さらに長年の行方不明を経て2012年に再発見され、岡田美術館の収蔵となった。《品川の月》と《吉原の花》は、ともにアメリカにあるフリーア美術館とワズワース・アセーニアム美術館にそれぞれ収蔵されている。
本展では、《吉原の花》をアメリカから迎え、岡田美術館が収蔵する《深川の雪》とともに展示する。日本でこの2作品が同時に展示されるのは、実に138年ぶりとなる。所蔵するフリーア美術館の創設者の遺言により門外不出となっている《品川の月》も、原寸大の高精細複製画を制作して展示。三部作を同時に見ることができる貴重な機会となる。