「八木一夫と清水九兵衞 陶芸と彫刻のあいだで」展に見る現代陶芸のルーツ

第二次世界大戦後の京都で新しい陶芸を試みた二人の作家、八木一夫(1918〜79)と清水九兵衞(1922〜2006)の展覧会「八木一夫と清水九兵衞 陶芸と彫刻のあいだで」が菊池寛実記念 智美術館で開催される。会期は9月16日〜12月3日。

清水九兵衞(洋) 花器 1955 径27.2×14.5×15cm 東京国立近代美術館蔵

 戦後の復興期に、それぞれの立場から陶芸界に新たな風を吹き込んだ作家、八木一夫と清水九兵衞。「八木一夫と清水九兵衞 陶芸と彫刻のあいだで」展は、多様な広がりを見せる現代陶芸のルーツと言われる、戦後の陶芸を牽引した二人にスポットを当てた展覧会だ。

八木一夫 ザムザ氏の散歩 1954 径27×14×27.5cm 撮影=森川昇

 八木は、1948年に結成された「走泥社」の中心的存在であり、用途を持たない彫刻的な作品「オブジェ焼き」を制作。陶芸家の長男として京焼の本場に生まれ育った八木は、日本のやきもの文化に西洋近代美術の考えを取り入れ、新しい陶芸の可能成を追求した。

清水九兵衞(七代六兵衞) 花陶容 1987 径25×26.5×18cm 京都市美術館蔵 撮影=ノマディク工房(内田芳孝)

 いっぽう清水は、東京藝術大学工芸科鋳金部に在籍していた51年に「新工芸協会」を結成。モダンリビングに合うインテリアを提案すると同時に陶家・清水六兵衞家で陶芸を学び、材料と形態、文様の関係を研究した。

清水九兵衞(洋) 花器(オブジェ、目、方容) 1955 径31×34×48cm 東京国立近代美術館蔵

 ジャンルを超えた交流が盛んに行われた戦後の美術界で、陶芸と彫刻の間を行き来する新たな表現領域を見出した二人。本展では、それぞれの取り組み方で陶芸と向き合った作家の、活力に満ちた創意を見ることができるだろう。

編集部

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